黒姫山へ向かった。
龍を探すために。
真実を探すために。
何日もかけて必死に私は歩いた。
けれども何もなかった。
龍はいない。
白龍もいない。
黒龍もいない。
ただ山があるだけだった。
風が吹く。
木々が揺れる。
鳥の声が聞こえる。
それだけだった。
「なんで……」
私は立ち尽くす。
「いるんじゃなかったの……?」
返事はない。
誰もいない。
私はその場に座り込んだ。
涙が止まらなかった。
今まで信じていたもの。
支えだったもの。
全部が崩れていく。
龍は幻覚。
夢は妄想。
私は病気。
そうなのかもしれない。
認めたくない。
でも現実は何も示してくれない。
結局、私は病院へ戻った。
疲れ果てていた。
身体も。
心も。
全部。
そして数日後、電話が鳴った。
病室だった。
父からだった。
声がおかしくて震えていた。
「志穂……」
嫌な予感がした。
心臓が一段と冷たくなる。
「お母さんが……」
父の声が途切れる。
その一瞬で分かった。
聞きたくなかった。
聞いてしまったら、本当に現実になるから。
「事故だった」
頭が真っ白になった。
「え……?」
意味が分からない。
理解できない。
母は昨日まで元気だった。
面会にも来ていた。
笑っていた。
大丈夫よと言っていた。
唯一、昔から龍が見えることを肯定してくれていた存在だった。
『いつか王子様が迎えに来てくれるわよ』
冗談半分でも、そう言ってくれていた。
なのに。
「亡くなった」
世界が止まった。
何も聞こえない。
何も考えられない。
ただ、ひとつだけ思った。
もう帰る場所がない。
そして、母はいつも言っていた。
『志穂はそのままでいいのよ』
病気でも。
学校へ行けなくても。
普通じゃなくても。
そう言ってくれた。
唯一の人だった。
その人がいなくなった。
私は病室のベッドで膝を抱える。
泣くこともできなかった。
涙すら出なかった。
ただ、空っぽだった。
その夜、また夢を見た。
白い雲海。
白龍が立っている。
けれども、いつものように求婚はしなかった。
ただ静かに泣いていた。
私は初めて見た。
白龍の涙を。
その涙がなぜか母の死と重なった。
そして、白龍は震える声で言った。
「もう限界です。これ以上あなたを一人にしたくない」
その言葉が。
龍を探すために。
真実を探すために。
何日もかけて必死に私は歩いた。
けれども何もなかった。
龍はいない。
白龍もいない。
黒龍もいない。
ただ山があるだけだった。
風が吹く。
木々が揺れる。
鳥の声が聞こえる。
それだけだった。
「なんで……」
私は立ち尽くす。
「いるんじゃなかったの……?」
返事はない。
誰もいない。
私はその場に座り込んだ。
涙が止まらなかった。
今まで信じていたもの。
支えだったもの。
全部が崩れていく。
龍は幻覚。
夢は妄想。
私は病気。
そうなのかもしれない。
認めたくない。
でも現実は何も示してくれない。
結局、私は病院へ戻った。
疲れ果てていた。
身体も。
心も。
全部。
そして数日後、電話が鳴った。
病室だった。
父からだった。
声がおかしくて震えていた。
「志穂……」
嫌な予感がした。
心臓が一段と冷たくなる。
「お母さんが……」
父の声が途切れる。
その一瞬で分かった。
聞きたくなかった。
聞いてしまったら、本当に現実になるから。
「事故だった」
頭が真っ白になった。
「え……?」
意味が分からない。
理解できない。
母は昨日まで元気だった。
面会にも来ていた。
笑っていた。
大丈夫よと言っていた。
唯一、昔から龍が見えることを肯定してくれていた存在だった。
『いつか王子様が迎えに来てくれるわよ』
冗談半分でも、そう言ってくれていた。
なのに。
「亡くなった」
世界が止まった。
何も聞こえない。
何も考えられない。
ただ、ひとつだけ思った。
もう帰る場所がない。
そして、母はいつも言っていた。
『志穂はそのままでいいのよ』
病気でも。
学校へ行けなくても。
普通じゃなくても。
そう言ってくれた。
唯一の人だった。
その人がいなくなった。
私は病室のベッドで膝を抱える。
泣くこともできなかった。
涙すら出なかった。
ただ、空っぽだった。
その夜、また夢を見た。
白い雲海。
白龍が立っている。
けれども、いつものように求婚はしなかった。
ただ静かに泣いていた。
私は初めて見た。
白龍の涙を。
その涙がなぜか母の死と重なった。
そして、白龍は震える声で言った。
「もう限界です。これ以上あなたを一人にしたくない」
その言葉が。

