萌月焼子は燃やし尽くす

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「君が好きだ」と書いてあった。
初めての言葉だった。
問題は、相手が既婚者だということ。

奥さんとの仲は聞けていない。怖くて聞けない。
自分は遊ばれているだけなのか、それとも本気になってくれているのか。
でも、嘘でも嬉しい。「好き」なんて、生まれてこの方、初めて言われた。
大して可愛いわけでも、愛想がいいわけでも、仕事ができるわけでもない。
あるのは、強いて言えば若さくらい。それも今だけだ。
あと3年もすれば、誰にも相手にされなくなる。

だから、今だけ。
この期間限定の恋愛を、せめて今だけは許してほしい。

そう思っていたけれど。
周りの友達の恋バナを聞いていて、なんとなく、思う。
こうして先のない恋愛をしている間に、自分は、本当に幸せになれる道を、自分から手放してるんじゃないかって。
でも、今の恋愛をやめたところで、私なんかを愛してくれる人が現れるとは、到底想像できない。
そう思うと、現状に甘えてしまう。彼の誘いを断ることができない。

どうしたらいいんだろう。
3年後の自分を思い描くのが、すごく怖い。

そう思っていたら、メッセージカードが燃え上がった。
揺れる炎が、あっという間にカードを包んで消した。
残ったのは、小指の爪ほどの真っ黒な燃えかすだけ。
……まるで、私達の恋みたいだ。
燃え上がって、すぐに燃やし尽くして消えて、後には黒いものしか残らない。
……もう、やめよう。
「好きだ」という言葉が目の前から消えて、ようやく、踏ん切りがついた気がする。
いつか消える恋なら、自分で決着をつけよう。

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