ひろくんのヒーロー様

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キーンコーンカーンコーン

脳を揺らすように、聞き馴染みのない、けれどどこか厳かなチャイムの音が響き渡った。見知らぬ学校の教室。あの衝撃の遭遇から数時間が経った今、分かったことがいくつかある。

一つ。本当に、知らない世界に飛ばされてしまったこと。
二つ。この世界が、お姉ちゃんの部屋にあったような『少女漫画』そのものだということ。
そして三つ目、これは、絶対に夢じゃないということ。

「ガタン……っ」

椅子を蹴立てて立ち上がり、両の拳を強く握りしめた。

普通の人間なら、この絶望的な状況をどう思うのだろうか。
きっと、元の世界へ戻れる方法を必死で探したり、世界のシステムを理解することに精一杯になって頭を抱えるはずだ。

―――しかし、この男は、根本的に違った。

現実世界で「痛い奴」と笑われ、誰のヒーローにもなれずに傷ついた記憶が、この世界の眩しい光に照らされて、一気に反転する。

「俺……ついに、本物のヒーロー様になれるんじゃね……?」

窓の外、漫画の1コマのように美しく舞い散る桜を見つめながら、宏斗の顔に、ニヤリと不敵な、そして心の底からワクワクした笑みが浮かび上がった。