微笑みの距離

数日後、美咲が学校を休んだ。

熱を出したとかではないらしい。心の問題。
凛は「心配だね」と言いながら、クラスでせっせと面倒を見ていた。
みんな、凛を“本当に優しい子”だと褒めていた。

私は教室の端で、爪を握りしめていた。

――このままでいいの?

夜、自分のスマホを開いた。
一年前、学校で配られた“いじめ・不正の相談窓口”。
匿名で通報できるフォームが残っていた。

そこに、私は見たままを書いた。
旧校舎の裏で凛がスマホを盗み見ていたこと。
SNSに美咲の情報を流した可能性があること。
彼女の笑顔が、すべて演技であること。

震える手で“送信”を押した。