そうしてやってきた決戦当日……というか、やはり、島で働いている文官にリアムのことがバレて、父上と叔父上に話が伝わったようだ。
そして、そこからルクシア王国に話が伝わり、リアムと王女の結婚式が早められそうになったのを防ぎ、そのタイミングで出来上がっていた魔神くん数十体を王城に放って城を制圧した。
魔神くんはかなりの高性能で、戦闘に特化して作ったために火魔法や雷魔法が得意だ。
その上、アズベルトとマティスのこだわり満載の剣やら槍やらを持ち、超小型ミサイルまで搭載していた。
魔術師でもなければ抑えられない強さだ。
そのため、王城はあっという間に制圧……というか、陥落した。
あっさりと城攻めが成功したことにより、叔父上は急遽、魔導学園に乗り込んで来ようとしたようだが、魔導学園の結界に弾かれて入ることはできなかった……ということを、レジナルドが教えてくれた。
レジナルドは叔父上から、登城するようにという伝言を預かったらしい。
ということで、俺は魔神くんの量産を待ってから登城することにした。
魔神くんは二日おきにどんどん増えるため、今や隣の研究室も借りて量産している。
ルシアン先生や他の先生たちも魔神くんに興味を持ち、研究し、一体くらいは自分で作ってみていたので、俺たちが作った魔神くんよりも大きかったり、性能が優れていたりする魔神くんも戦力に加わった。
俺は幾つになっても好奇心旺盛で研究熱心な教師たちの姿を見て改めて、ホクマカム学園を敵に回すべきではないと思った。
教師たちによる試作や気まぐれにより量産された魔神くんも含めて百体以上が揃ってから、俺はリアムと親友二人と一緒に登城して、魔神くんを皇城に放った。
魔神くんはあっという間に騎士たちの動きを封じ、逃げ出そうとした文官も取り押さえて、城を制圧した。
「ルーカス! これはどういうことだ!」
「お前は一体、何を考えているんだ!?」
玉座で待っていた皇帝の兄上と、前皇帝である父上、そして叔父上と対面した。
兄上はいつも通りに余裕のある笑顔で出迎えてくれたが、叔父上と父上には魔神くんは不評だったようだ。
「元はと言えば、叔父上と父上が俺とリアムを出会わせないように画策したせいですが?」
「それに関しては申し訳なく思っているが、ホクマカム魔導学園の教師たちや島の人々の反応を見るに、私の未来視が外れていたとも思えない」
「まさか、無愛想なお前にあれほどの統率力があるとは思わなかったがな」
「教師たちはともかく、町の人たちが協力してくれたのはリアムのおかげです。リアムは人に好かれる才能がありますから」
ちなみに、叔父上が長年信頼を置いている執事のレジナルドがリアムのことを孫のように可愛がっていると教えようかと思ったが、それは俺たちの要望を通してからでいいだろう。
「ひとまず、兄上、父上、叔父上には、俺とリアムの交際を認めてもらい、今後一切、リアムに手を出さないと約束して欲しいのですが?」
父上は渋面を浮かべる。
「そうすれば、魔導学園の島を含めて、帝国には手を出さないと?」
「手を出さないとか、人聞きが悪いですよ。そもそも、最初に俺たちに手を出してきたのは父上たちではないですか?」
俺とリアムが出会わないように画策するなど、万死に値する。
「……それに関して、謝れば許してくれるのか?」
「先ほども言ったではないですか? 俺とリアムの交際を認めて、今後一切、リアムに手を出さないでください」
「しかし、今後、万が一、帝国に何か悪影響があるようであれば、我々はその子を敵と認定するだろう」
「謝る」と言った口でそれか?
どうやら、父上は謝罪の意味をわかっていないようだ。
「リアムはいい子です。この子が何かするわけがないでしょう?」
「今のお前のように、人は状況によって善にも悪にもなるだろう?」
「それはこちらのセリフです。俺からしたら今の父上も叔父上も俺から運命の相手を奪おうとする悪魔のようです」
俺と父上の間に緊迫した空気が流れる。
俺の中に、今、この時点で邪魔者を排する必要があるのではないかという考えまで浮かぶ。
親子の情など関係ない。
俺の運命を守れるのは俺だけなのだから。
「たとえ誰であろうと、俺の運命は誰にも奪わせません!」
魔力が漏れ出てしまっていたのか、父上の顔が青くなる。
しかし、次の瞬間、俺の漏れ出た魔力は消失した。
「僕とルーカス様は運命じゃありません」


