魔術具は術式を組み込み、魔力を流し込むと一定時間起動する道具であり、魔法具は簡易な術式で魔力を流し込んでいる間だけ起動するものだ。
魔導具は魔術具よりもより複雑は術式が組み込まれ、膨大な魔力を保持し続け、長期間動いているもので、城や国を守る結界を発動する魔導具が一番有名なものである。
「この玉の部分を肩に当てて、魔力を注ぎ込んでみてください」
リアムが作った魔法具の球体部分を肩に当てて魔力を流し込むと、球体がくるくると回りだし、緊張して強張った肩をほぐしていく。
非常に気持ちがいい。
「これは気持ちがいいな」
そう素直に伝えるとリアムは嬉しそうだ。
「ルーカス様はいつも書類仕事をしておられますから」
「まさか、俺のために作ってくれたのか?」
そう感動したが、すぐに俺の手から魔法具は奪われた。
「実験にご協力いただき、ありがとうございます! これから量産して、皆さんにもお配りしますね!」
「え? 皆さん?」
「マティス様もアズベルト様もお疲れですし、レジナルドさんにも作ってあげたいですから!」
こういうところがあのレジナルドの心を射止めたのだろうが、なんだか寂しい。
数日後、肩をほぐす魔法具を贈られたレジナルドはいたく感動し、「孫の手」と勝手に命名までしていた。
孫の手のように優しく肩をほぐしてくれるそうだが、レジナルドに孫がいたとは驚きだ。
孫の姿に重ねていたからリアムのことを気に入っていたと言うことだろうか?
ちなみに、魔法使いでも魔術師でもないレジナルドの孫の手には魔力が込められた魔石をはめることによって起動するようにしてある。
「ルーカス様には、こちらを」
そうリアムが渡してくれた魔法具には棒状の部分に宝石が埋め込まれていた。その宝石の色は、俺の瞳の色だった。
相手への瞳や髪の色の宝石がついたものを送るのは、敬意の表れだ。
リアムは男爵の出だと言っていたから、彼にとって宝石は決して安いものではなかったはずだ。
「リアム、これは……」
「感謝の印です」
えへへと笑うリアムが可愛い。
「ありがとう。俺も今度、リアムに何か贈るよ」
こんなに心のこもった贈り物をされたのだから、ぜひ、何か返さなくては。
「いえ、僕はもうたくさん受け取っていますから」
「いや、ぜひお返しをさせてほしい」
運命の人から初めて贈られたものに見合うお返しがしたい。
何がいいだろう? リアムは本当に研究が好きなようだから、広く使い勝手のいい研究室を屋敷の中に準備しようか?
いや、どうせなら屋敷そのものを与えてあげればいいだろうか?
この公爵の領地はいずれ私に譲渡すると叔父上は言っていたけれど、リアムの研究用の屋敷を用意するのに適した場所があるだろうか?
いや、屋敷では狭いだろうか?
リアムには自国に帰らずにここに残ってもらう必要があるし、領地をプレゼントすればいいだろうか?
そんなことを考えていると、リアムが「それなら」と、小さな声で言った。
「ルーカス様の魔力が込められた魔石をいただけませんか?」
「そんなものでいいのか?」
「思い出になりますから」
瞬間、瞬間を思い出にしようとするリアムのことが素敵だと思ったから、俺はリアムに俺の魔力を込めた魔石を贈ることを約束した。
翌日、リアムは朝食の時間に研究室にいなかった。
魔法具ができたから、研究はひと段落したのかもしれない。
しかし、昼食にも姿を現さず、マティスが師匠のところにリアムの様子を聞きに行っても師匠も知らないそうだ。
体調を崩して寮で休んでいるのかもしれないということで、アズベルトが寮の部屋まで見に行ったのだが、アズベルトがもたらした報告は「リアムは数日前から研究室にこもって寮には全く戻ってきていない」というものだった。
確かに、リアムは数日前から俺たちに贈る魔法具を作っていたから寮には戻っていない。
しかし、それは昨日までの話だ。
昨夜には寮に戻って久しぶりにベッドでしっかりと寝ると言っていたのだ。
そのリアムが一度も寮に戻っていないというのは完全におかしな話だった。
「レジナルド、すまないが」
「はい。リアム様を探しに行ってください」
レジナルドは今やリアムを実の孫のように可愛がっているため、その表情は本当に心配そうだった。
俺とマティスとアズベルトは研究室の窓から外に飛び降り、重力で落下する途中、杖を取り出して、背丈ほどの大きさにするとそれに跨って飛行する。
風の魔術により、落下していた体は急上昇し、研究棟が見渡せる上空で停止する。
俺たちはそれぞれ、リアムからもらった魔法具の孫の手を掲げて、術式を唱える。
そして、魔法具に残るリアムの魔力から、現在地を探った。
すると、魔術で抽出したリアムの魔力の光が、今は古い魔法具や魔術具などが置いてある旧校舎の一室を示した。
俺たちが急いでその場所に向かうと、部屋の中で倒れているリアムの姿が窓から見えた。
魔導具は魔術具よりもより複雑は術式が組み込まれ、膨大な魔力を保持し続け、長期間動いているもので、城や国を守る結界を発動する魔導具が一番有名なものである。
「この玉の部分を肩に当てて、魔力を注ぎ込んでみてください」
リアムが作った魔法具の球体部分を肩に当てて魔力を流し込むと、球体がくるくると回りだし、緊張して強張った肩をほぐしていく。
非常に気持ちがいい。
「これは気持ちがいいな」
そう素直に伝えるとリアムは嬉しそうだ。
「ルーカス様はいつも書類仕事をしておられますから」
「まさか、俺のために作ってくれたのか?」
そう感動したが、すぐに俺の手から魔法具は奪われた。
「実験にご協力いただき、ありがとうございます! これから量産して、皆さんにもお配りしますね!」
「え? 皆さん?」
「マティス様もアズベルト様もお疲れですし、レジナルドさんにも作ってあげたいですから!」
こういうところがあのレジナルドの心を射止めたのだろうが、なんだか寂しい。
数日後、肩をほぐす魔法具を贈られたレジナルドはいたく感動し、「孫の手」と勝手に命名までしていた。
孫の手のように優しく肩をほぐしてくれるそうだが、レジナルドに孫がいたとは驚きだ。
孫の姿に重ねていたからリアムのことを気に入っていたと言うことだろうか?
ちなみに、魔法使いでも魔術師でもないレジナルドの孫の手には魔力が込められた魔石をはめることによって起動するようにしてある。
「ルーカス様には、こちらを」
そうリアムが渡してくれた魔法具には棒状の部分に宝石が埋め込まれていた。その宝石の色は、俺の瞳の色だった。
相手への瞳や髪の色の宝石がついたものを送るのは、敬意の表れだ。
リアムは男爵の出だと言っていたから、彼にとって宝石は決して安いものではなかったはずだ。
「リアム、これは……」
「感謝の印です」
えへへと笑うリアムが可愛い。
「ありがとう。俺も今度、リアムに何か贈るよ」
こんなに心のこもった贈り物をされたのだから、ぜひ、何か返さなくては。
「いえ、僕はもうたくさん受け取っていますから」
「いや、ぜひお返しをさせてほしい」
運命の人から初めて贈られたものに見合うお返しがしたい。
何がいいだろう? リアムは本当に研究が好きなようだから、広く使い勝手のいい研究室を屋敷の中に準備しようか?
いや、どうせなら屋敷そのものを与えてあげればいいだろうか?
この公爵の領地はいずれ私に譲渡すると叔父上は言っていたけれど、リアムの研究用の屋敷を用意するのに適した場所があるだろうか?
いや、屋敷では狭いだろうか?
リアムには自国に帰らずにここに残ってもらう必要があるし、領地をプレゼントすればいいだろうか?
そんなことを考えていると、リアムが「それなら」と、小さな声で言った。
「ルーカス様の魔力が込められた魔石をいただけませんか?」
「そんなものでいいのか?」
「思い出になりますから」
瞬間、瞬間を思い出にしようとするリアムのことが素敵だと思ったから、俺はリアムに俺の魔力を込めた魔石を贈ることを約束した。
翌日、リアムは朝食の時間に研究室にいなかった。
魔法具ができたから、研究はひと段落したのかもしれない。
しかし、昼食にも姿を現さず、マティスが師匠のところにリアムの様子を聞きに行っても師匠も知らないそうだ。
体調を崩して寮で休んでいるのかもしれないということで、アズベルトが寮の部屋まで見に行ったのだが、アズベルトがもたらした報告は「リアムは数日前から研究室にこもって寮には全く戻ってきていない」というものだった。
確かに、リアムは数日前から俺たちに贈る魔法具を作っていたから寮には戻っていない。
しかし、それは昨日までの話だ。
昨夜には寮に戻って久しぶりにベッドでしっかりと寝ると言っていたのだ。
そのリアムが一度も寮に戻っていないというのは完全におかしな話だった。
「レジナルド、すまないが」
「はい。リアム様を探しに行ってください」
レジナルドは今やリアムを実の孫のように可愛がっているため、その表情は本当に心配そうだった。
俺とマティスとアズベルトは研究室の窓から外に飛び降り、重力で落下する途中、杖を取り出して、背丈ほどの大きさにするとそれに跨って飛行する。
風の魔術により、落下していた体は急上昇し、研究棟が見渡せる上空で停止する。
俺たちはそれぞれ、リアムからもらった魔法具の孫の手を掲げて、術式を唱える。
そして、魔法具に残るリアムの魔力から、現在地を探った。
すると、魔術で抽出したリアムの魔力の光が、今は古い魔法具や魔術具などが置いてある旧校舎の一室を示した。
俺たちが急いでその場所に向かうと、部屋の中で倒れているリアムの姿が窓から見えた。


