「何やら皆さんでこそこそしていると思えば、このようなものを作っておられたのですか?」
そう言って魔術具の扉を開けたのはレジナルドだった。
「ルーカス様、この方は公爵家の執事さんですか?」
なぜかリアムの瞳が輝いている。
「ああ」と頷けば、リアムはソファーから立ち上がり、レジナルドに丁寧に礼をした。
「いつも美味しいご飯をありがとうございます。栄養も考えられていて、研究している間の体調がこんなによかったのは初めてです!」
きっと一人の時はパンや菓子など口に運びやすいものと水だけで済ませていたのだろう。
「おやおや、ルーカス様にこのように礼儀正しいご友人がおられたとは存じ上げませんでした」
リアムのお礼にレジナルドの表情が和らぐ。
レジナルドがこんな表情をできるとは驚きだ。
「食事のことはともかく、目の下のクマがすごいですね。お休みは十分に取られているのですか?」
「ルーカス様が眠るようにおっしゃってくださいますから、毎日二時間くらいは寝ています」
リアムはにこりと微笑む。
「そうですか。それでは、夜だけでなく、昼間も少し眠られると良いでしょう」
「さぁ、横になって」と、レジナルドはリアムをソファーに座らせると、俺の膝を当然のように枕代わりにしてリアムを横にした。
急な接触に俺は驚いて固まってしまったが、レジナルドは「ブランケットを持って参ります」と魔術具の扉から出ていった。
リアムはすぐに寝息を立て始めた。
しばらくするとレジナルドは戻ってきたが、その腕にはブランケットと書類があった。
「さぁ、この少年が起きるまで、ここでしっかりと執務をなさってください」
まさかのリアムはレジナルドキラーだったようだ。
その後もレジナルドはリアムのことを気にして、朝食を早々に研究室に運び、昼食と夕食はカートにフルコースを乗せて運んできた。
「本当はお屋敷の食堂でゆっくりと召し上がっていただきたいのですが、他の使用人の目もありますからな」
そんなことを言いながらリアムの食事の世話を始めたレジナルドだったが、そのうちメイドたちにバレ、フットマンたちにもバレ、「最近、ルーカス様がお食事を完食してくださるようになったのは可愛らしいお友達のおかげだと聞きました」と、料理長がリアムのためのお菓子作りに力を入れ始めた。
リアムはもう十五歳なのだが、見た目がもっと幼く見えるために、子供用の甘いデザートやお菓子が用意されるようになった。
「リアム様、お茶のおかわりはいかがですか?」
「ありがとうございます。でも、もう研究室に戻らないと」
そうして、徐々に屋敷の使用人たちにその存在を知られたリアムは、お茶の時間に俺の執務室で休憩を取るようになっていた。
「リアムのレジナルドキラースキルすげぇ」
お茶の時間などこれまでなかったのに、お茶の時間はでき、料理長は張り切ってお菓子を作り、レジナルドは美味しいお茶を用意し、メイドたちはなぜか俺の部屋に花を飾るようになった。
いや、花を飾っているのはレジナルドの指示か?
「そうですか。では、焼き菓子を手土産に包みましょう」
「大丈夫です。夕食まで研究に集中してしまいますし、お菓子は今夜のデザートにしてください」
「しかし、料理人がデザートには他のお菓子を準備していると申しておりました」
「大丈夫です。夕食の時間に全部美味しくいただきます」
レジナルドと料理人のやる気をリアムは華奢な体に見合わない食欲でしっかりと受け止めていた。
おそらく、立った状態のまま、何時間も研究をするためにとても体力を使うのだろう。
脳の栄養消費も早そうだ。
「そういえば、僕、ルーカス様に協力してほしいことがあったのですが、お仕事はお忙しいですか?」
「そうだな。まだ今日の執務が……」
「何をおっしゃっているのですが? ルーカス様? リアム様がお手伝いしてほしいことがあるとおっしゃっているのですから、お手伝いしてあげたらいいではないですか?」
恐るべし、レジナルドキラー。
「そうか? しかし、執務が残っているだろう?」
念のために聞いてみたが、レジナルドはしれっと俺の親友二人を手で示した。
「こちらに、優秀なお友達がいるではないですか?」
「「ええ!?」」と二人は叫んでいるが、レジナルドにはその叫びは聞こえないようだ。
「仕方ない。行ってこいよルーカス」
「ルーカスのデザートは俺たちでもらうわ」
二人はデザートを差し出すだけで俺の代理をしてくれるという。
「それじゃ、よろしく頼む」
俺はリアムと一緒に研究室へと向かった。
「それで、俺に協力してほしい研究って?」
「こちらです!」
ジャジャーンっとでも言いそうな勢いで出してきたのは、何やら見慣れない魔法具だった。
簡単に言うと、棒の先に球体がついている形状をしている。
そう言って魔術具の扉を開けたのはレジナルドだった。
「ルーカス様、この方は公爵家の執事さんですか?」
なぜかリアムの瞳が輝いている。
「ああ」と頷けば、リアムはソファーから立ち上がり、レジナルドに丁寧に礼をした。
「いつも美味しいご飯をありがとうございます。栄養も考えられていて、研究している間の体調がこんなによかったのは初めてです!」
きっと一人の時はパンや菓子など口に運びやすいものと水だけで済ませていたのだろう。
「おやおや、ルーカス様にこのように礼儀正しいご友人がおられたとは存じ上げませんでした」
リアムのお礼にレジナルドの表情が和らぐ。
レジナルドがこんな表情をできるとは驚きだ。
「食事のことはともかく、目の下のクマがすごいですね。お休みは十分に取られているのですか?」
「ルーカス様が眠るようにおっしゃってくださいますから、毎日二時間くらいは寝ています」
リアムはにこりと微笑む。
「そうですか。それでは、夜だけでなく、昼間も少し眠られると良いでしょう」
「さぁ、横になって」と、レジナルドはリアムをソファーに座らせると、俺の膝を当然のように枕代わりにしてリアムを横にした。
急な接触に俺は驚いて固まってしまったが、レジナルドは「ブランケットを持って参ります」と魔術具の扉から出ていった。
リアムはすぐに寝息を立て始めた。
しばらくするとレジナルドは戻ってきたが、その腕にはブランケットと書類があった。
「さぁ、この少年が起きるまで、ここでしっかりと執務をなさってください」
まさかのリアムはレジナルドキラーだったようだ。
その後もレジナルドはリアムのことを気にして、朝食を早々に研究室に運び、昼食と夕食はカートにフルコースを乗せて運んできた。
「本当はお屋敷の食堂でゆっくりと召し上がっていただきたいのですが、他の使用人の目もありますからな」
そんなことを言いながらリアムの食事の世話を始めたレジナルドだったが、そのうちメイドたちにバレ、フットマンたちにもバレ、「最近、ルーカス様がお食事を完食してくださるようになったのは可愛らしいお友達のおかげだと聞きました」と、料理長がリアムのためのお菓子作りに力を入れ始めた。
リアムはもう十五歳なのだが、見た目がもっと幼く見えるために、子供用の甘いデザートやお菓子が用意されるようになった。
「リアム様、お茶のおかわりはいかがですか?」
「ありがとうございます。でも、もう研究室に戻らないと」
そうして、徐々に屋敷の使用人たちにその存在を知られたリアムは、お茶の時間に俺の執務室で休憩を取るようになっていた。
「リアムのレジナルドキラースキルすげぇ」
お茶の時間などこれまでなかったのに、お茶の時間はでき、料理長は張り切ってお菓子を作り、レジナルドは美味しいお茶を用意し、メイドたちはなぜか俺の部屋に花を飾るようになった。
いや、花を飾っているのはレジナルドの指示か?
「そうですか。では、焼き菓子を手土産に包みましょう」
「大丈夫です。夕食まで研究に集中してしまいますし、お菓子は今夜のデザートにしてください」
「しかし、料理人がデザートには他のお菓子を準備していると申しておりました」
「大丈夫です。夕食の時間に全部美味しくいただきます」
レジナルドと料理人のやる気をリアムは華奢な体に見合わない食欲でしっかりと受け止めていた。
おそらく、立った状態のまま、何時間も研究をするためにとても体力を使うのだろう。
脳の栄養消費も早そうだ。
「そういえば、僕、ルーカス様に協力してほしいことがあったのですが、お仕事はお忙しいですか?」
「そうだな。まだ今日の執務が……」
「何をおっしゃっているのですが? ルーカス様? リアム様がお手伝いしてほしいことがあるとおっしゃっているのですから、お手伝いしてあげたらいいではないですか?」
恐るべし、レジナルドキラー。
「そうか? しかし、執務が残っているだろう?」
念のために聞いてみたが、レジナルドはしれっと俺の親友二人を手で示した。
「こちらに、優秀なお友達がいるではないですか?」
「「ええ!?」」と二人は叫んでいるが、レジナルドにはその叫びは聞こえないようだ。
「仕方ない。行ってこいよルーカス」
「ルーカスのデザートは俺たちでもらうわ」
二人はデザートを差し出すだけで俺の代理をしてくれるという。
「それじゃ、よろしく頼む」
俺はリアムと一緒に研究室へと向かった。
「それで、俺に協力してほしい研究って?」
「こちらです!」
ジャジャーンっとでも言いそうな勢いで出してきたのは、何やら見慣れない魔法具だった。
簡単に言うと、棒の先に球体がついている形状をしている。


