○4月中旬、夜、屋敷、ほのりの部屋
ベットでくつろぐほのりのスマホに着信
葉月からの着信画面
ほのり(あ、葉月からだ)
「もしもし…」
葉月『もしもし、ほのり?』
ほのり「久しぶり。どうしたの、いきなり電話なんて」
葉月『どうしたのじゃないよ!全然連絡してこんから心配して電話したんじゃけど!』
ほのり「あぁ、ごめん。バタバタしてて連絡できてなかった」
葉月『バタバタって…家決まったの?』
ほのり「あ、うん、決まったよ」
(亜仙さんのこと、葉月に全く言えてなかった…)
葉月『そうなんだ!よかったよかった。じゃあ、ゴールデンウィーク遊びに行くからね!』
ほのり「えっ」
葉月『なに、いけんの?』
ほのり「いや、いけなくないけど…ちょっと葉月の地元から遠いから…」
葉月『あ、遠いんだ。ま、親の車借りられるし、大丈夫大丈夫!』
ほのり「そっか、葉月免許持ってるもんね」
葉月『うん。こっちで乗ることはあんまないけどね。じゃあ、また連絡するから』
ほのり「うん、わかった。またね」
電話を切り、布団に寝転び天井を見る。
ほのり(ずっと味方でいてくれた葉月にちゃんと話さないと)
「にゃぁー」ドアの外から
ほのり(…ん?)
ドアを開けると猫のあーくんがいる。
ほのり「あーくん、どうしたの?眠れないの?」しゃがんで話しかける。
「にゃあ」甘え鳴き、すり寄ってくる
ほのり「ふふ、可愛い。じゃあ、一緒に寝ようか」
あーくんを抱っこし、ベットへ。
布団の中で、あーくんを包み込むように眠る。
ほのりの胸あたりで、幸せそうなあーくんの表情。
数日後
○飛翔亭、昼間
休憩中のほのりと越智、仲居姿
越智「お友達が来られるの楽しみですね」
ほのり「はい。あ、この辺りでどこかオススメのカフェとかありますか?」
越智「カフェ…あ!ありますあります。こういう雰囲気の…」スマホ画面見せてながら
ほのり「わぁ、お洒落!」
越智「あとでお店のURL送っておきますね」
ほのり「ありがとうございます」
○夜、離れの寝室
薄暗い中、ほのりと亜仙が布団に入ろうとしている。
ほのり(初めて露天風呂に入った日から週に一度、離れで2人きりの夜を過ごすようになった)
亜仙「ほのり…」
そっと向かい合う形で、ほのりを包み込む。
ほのり頬染まる。
亜仙「来月さ、母親と兄弟が集まる行事があって…ほのりにも来てほしいって思っとる」
ほのり「…いいんですか?私が行っても…」
亜仙「もちろん、いいに決まってる。ちゃんと家族に紹介したいから」
ほのり「嬉しいです。ぜひお会いしたいです」
亜仙「ありがとう」
ほのり「あ、私も1つお願いがあって」
亜仙「ん?なに?」
ほのり「ゴールデンウィークに友達が家に遊びに来たいって言ってるんですけど、大丈夫ですか?」
亜仙「そんなのウェルカムだって!せっかくだし、俺もほのりの友達と色々話してみたい」ニコッ
ほのり「ありがとうございます」
○4月下旬、昼間、スーパー
ほのりと茶子が買い物中
茶子「すみません、付き合っていただいて」
ほのり「いつも茶子さんに任せっきりなので。それにスーパー好きなんです。ここのスーパーにはよく来るんですか?」
茶子「そうですね、定期的に来ますよ。あとは、肉屋さんや八百屋さんに行ったり、直接我が家まで届けてもらったり、スーパー以外にも色んな買い方をしています」
ほのり「へぇ、そうなんですね」
茶子「あ、亜仙様の好きなお菓子がありましたよ!」
ほのり「亜仙さん、これが好きなんですか?」
茶子「お気に入りのうちの一つです。この辺りだとこのスーパーにしか売ってないんですよ」
ほのり「なるほど。…茶子さんは、亜仙さんのことをよく知ってて羨ましいです」
茶子「…。初めから全て知る必要はないと思いますよ。それに、夫婦になれば私や兄の知らない亜仙様の一面を沢山知るでしょうし」
ほのり「…ありがとうございます」
○夜、リビング
4人で夕飯中。
亜仙「ごちそうさまでした」
ほのりと茶子まだ食べている。戌井食器下げている。
亜仙「ほのり、食べ終わった庭園に出てきてほしいんじゃけど、いいか?」
ほのり「あ、はい。わかりました」
亜仙「ゆっくりでええから」
○屋敷の庭園
ほのり「お待たせしました」
少し距離を空け、向かい合う形で立つ亜仙とほのり。
亜仙「寒くない?」
ほのり「大丈夫です」
亜仙「今度、家族に会ってもらうじゃん?それに伴って伝えたいことがあって…。あと、ほのりと結婚するからには、秘密や隠し事は無しにしたいけん…」
ほのり「…?」
軽くモヤ
亜仙の頭から耳が生え、尻から尻尾が生えている姿になる。月をバックに妖艶で美しいように。
唖然とするほのり、アップめ?
ほのり(え…亜仙さん…だよね?)
亜仙「ほのりがこの姿を見るのは2度目か」
ほのり(2度目…あ、去年神社で見た狐の花嫁)
その時の回想ショット。
亜仙「…俺の母親は九尾の狐、つまり妖怪なんよ。ずいぶん昔に狐から人間の姿になって、人間と結婚した。だから俺たち兄弟は、半妖怪なんよ」
ほのり(九尾の狐…半妖怪…)思考追いついていない
亜仙「母親や俺たちの正体を知っているのは、それぞれの秘書や使用人、限られた神社の宮司、そして…母親と同じく人間として生きている狸の妖怪だけ」
ほのり「…。」
亜仙「いきなりこんなん言われても驚くし、困るし…怖いよな。…でも、俺の全部を知った上で、結婚したいと思ってほしいから」真剣な表情
ほのり(予想外のことが目の前で起きて、すごく驚いてる。だけど、怖いなんて一瞬も思わなかった)
「…耳、触ってみてもいいですか?」
亜仙「…うん」
ほのりに向かい軽く頭を下げる。一歩前に出たほのりはそっと狐の耳部分を触る。
ほのり「ふわふわしてる」
亜仙「尻尾は、もふもふしとるよ」
尻尾を動かす。ほのりが触る。
ほのり「ほんとだ!」
触り終える。
ほのり「この姿になる以外に、特別な力があったりするんですか?」
亜仙「うん、あるよ」
白いモヤ
大きな雄の鹿が現れる。
ほのり(!!)
白いモヤ
狼が現れる。
白いモヤ。
耳の生えていない、人間の亜仙の姿になる。
亜仙「俺は人以外の生き物なら、何にでも化けることができる」
ほのり「…すごい」ぼそっと
亜仙「ちなみに、あーくんは俺じゃから」軽く笑み
ほのり「え…えぇー!?」
あーくんと密着して寝たことを思い出して顔赤く。
ほのり「恥ずかし過ぎる…ひどいですよぉ…」両手を頬に当て恥ずかしそう。
亜仙「あはは、ごめんごめん。……勝手に布団に潜り込むし、半妖怪じゃし、ほのりのことが好き過ぎるし…こんな男、嫌になる?」ほのりの両手に手を重ねる、頬に添えてるまま。
見つめ合う2人。
ほのり(知れば知るほど、この人のことが好きになる、愛おしくなる。もっと、もっと深く知りたい)
「嫌になんてなりません。…亜仙さん、愛しています」微笑み
ドキッとする亜仙。
亜仙「…俺も愛しとる」
キス



