マンガシナリオ『九尾の息子は、生涯孤独の彼女を優しく甘やかす』


ほのりが亜仙の家に住み始めて約2週間。

○屋敷、リビング、朝
4人で朝食を食べている。
亜仙「来週、関西方面に泊まりの出張に行くんじゃけど、ほのりも一緒にどう?」
ほのり「え…」
亜仙「仕事の手伝いじゃなくて、旅行の付き添いってやつ。空いてる時間でデートしたいし」
茶子「わぁ、それは素敵ですね!ほのり様、楽しんで来てください」
亜仙「茶子も来るか?」
茶子「え、いいんですか!?」嬉しそう
亜仙「俺と戌井が仕事中、ほのりも1人より茶子といる方が楽しいじゃろ。な?」
ほのり「あ、はい」
茶子「やったー!何着て行こうかなぁ。あ、せっかくですし、向こうでお洋服買うのもいいですよね!美味しいスイーツも食べましょうね!」
ほのりに向かって前のめり。
戌井「茶子、落ち着け」
亜仙「あはは、女子旅みたいでええな」
ほのり(女子旅…初めて)


翌週
○車内、朝
戌井の運転する車で到着。
亜仙と戌井はスーツ姿、ほのりと茶子は私服姿。
亜仙「俺らは部屋に寄った後仕事するから、ほのりと茶子は荷物置いたら、買い物や観光しておいで」
茶子「かしこまりました!」

○関西のホテル内
支配人たちが亜仙たちに挨拶をする。
支配人「亜仙様、お待ちしておりました。お疲れ様です」
亜仙「お疲れ様です。あ、先に紹介しときますね。こちら、婚約者のほのりです」
ほのり「あっ、柏木ほのりです。よろしくお願いします」
支配人「ほのり様。お会いするのを楽しみにしておりました。本日は、当ホテルでごゆっくりお過ごしくださいませ」
ほのり「ありがとうございます」
江口「…亜仙様。本日のお部屋ですが、ご希望通り3部屋ご用意できておりますので、ご案内いたします」
亜仙「江口さん、ありがとうございます」
微笑んだ江口は、少し頬が染まっている。

案内されたのは、戌井と茶子にそれぞれひと部屋、亜仙とほのりにはスイートルーム。
茶子と2人部屋だと思っていたほのりは、最後に亜仙と部屋に案内されて驚いている。
ほのり(え!?亜仙さんと同じ部屋!?)
広い部屋を見渡し、ダブルベッドが目に入る。
ほのり(…まさか、今夜あのベッドで一緒に寝るの!?)
亜仙「ほのり?どうかした?」顔を覗き込む。
ほのり「あ、いえ…大丈夫です」
亜仙「俺、この後会議だから、なんか困った時はまず戌井に連絡してな」
ほのり「分かりました」
亜仙「じゃあ、茶子と楽しんで!」


○街中
茶子「わぁー!どこもかしこもキラキラしてるー!!」興奮
ほのりも初めて見る光景に胸を躍らせている。
ほのり(すごい…どこを見ても華やかで、オシャレな雰囲気)

アパレルショップや雑貨を巡り楽しむ2人。
茶子「そろそろお昼にしましょうか!この近くにいつか行ってみたいと思っていたカフェがあるんですけど、そこに行ってみてもいいですか?」
ほのり「はい、もちろん」

○カフェ店内
お洒落なワンプレートランチ。
茶子「んー、美味しーい!」
ほのり「見た目も味も最高ですね」
茶子「ですね!デザートも美味しそうだったので、後で頼みましょう」
ほのり「はいっ。…茶子さんは、よく亜仙さんたちの出張に同行されるんですか?」
茶子「いえ、私は基本的に留守番ですよ。プライベートで出掛けられる際に一緒に行くことはありますが、お仕事の時は全く」
ほのり「そうなんですね」
茶子「きっと、ほのり様を色んな所へ連れて行ってあげたい、ほのり様と沢山デートしたい、って亜仙様はお考えなんでしょうね」
ほのり「…どうしてそこまで私のことを考えてくれるんでしょうか」伏し目がち
茶子「そんなの、ほのり様のことが大好きで、大切だからに決まってるじゃないですか!」
ほのり「…っ」
茶子「亜仙様は誰にでも優しくて、人懐っこい方ですが、ほのり様への態度は別物ですもん。特別な存在だと伝わって、私も兄も嬉しいです」
ほのり「そっかぁ…。お2人は、亜仙さんと付き合いが長いんですか?」
茶子「私たち3人は同じ高校に通っていたので、学生時代からの付き合いです」
ほのり「え、そうなんですか!?」
茶子「はい。亜仙様が3年生の時に兄が2年生、私が1年生で。亜仙様、生徒会長だったんですよ」
ほのり「生徒会長…似合いそう」
茶子「えぇ、とってもお似合いで、全生徒の憧れの存在でした」
ほのり(高校生の亜仙さんかぁ。どんな感じなんだろう)

○夜、ホテル内のレストラン
ほのりと茶子が夕食中のシーン。
茶子「亜仙様たちはまだ戻らないと思いますけど、そろそろ部屋に行きますか?」
ほのり「はい、部屋でのんびり待っておこうと思います」

エレベーター前にいると江口が現れる。2人に会釈。乗り込む3人。

茶子「ほのり様、今日はゆっくり休んでくださいませ。では、また明日。失礼します」
ほのり「ありがとうございます。おやすみなさい」
茶子が降りていく。ドア閉まる。
江口と2人きりになる。
ほのり「…。」
江口「…あの、失礼を承知でお聞きしますが、あなた本当に亜仙様の婚約者なんですか?」
ほのり「え…」
江口「噂によれば、つい最近高校を卒業されたと聞きました。てっきり年齢の近い世城様の婚約者かと思ったぐらいです」
ほのり「よしろ…?」
江口「もしかして、亜仙様のご兄弟を把握されてないんですか?」
ほのり「…。」
(…知らなかった。亜仙さんに弟がいるなんて。…というか、私、亜仙さんのこと何も…)
江口「亜仙様はお優しい方なので、何か理由があってあなたと結婚なんておっしゃっているんでしょうけど、ご自身が妻の立場に相応しいかよーく考えてみてください。では、失礼します」
降りていく江口。
ほのり「…。」

○スイートルーム
入浴を済ませたほのりが、ソファで茶子から送られてきた今日の写真を見ている。
亜仙が仕事から戻ってくる。
亜仙「遅くなってごめん」
ほのり「お疲れ様です。…何か飲み物を…っ」
立ちあがろうとする。
ぎゅっ…
亜仙がほのりを抱きしめる。
ほのり「…っ」
亜仙「今日楽しかった?」
ほのり「…はい、茶子さんが色々連れて行ってくれて、すごく楽しかったです」
亜仙「良かった」
腕を解いた亜仙は、ほのりの頭を撫でる。
亜仙「明日は午前中で仕事終わらせるから、午後からデートしような!」
ほのり「…ありがとうございます」
亜仙「もぉーそこは、ありがとうじゃなくて、楽しみ!ってゆって」
子供みたいに拗ねた顔をする。
ほのりは思わず笑顔。
ほのり「…はい、すごく楽しみです!」
亜仙「俺もめっちゃ楽しみ!!」

亜仙「俺、シャワー浴びたら、少しだけ仕事するから先に寝といてな」
ほのり「はい。…無理しないでくださいね」
亜仙「ありがとう」

○ベッドルーム
遊び疲れていたほのりは、亜仙がベッドに来る前に眠りについた。
ほのりの寝顔。
亜仙がやって来て、ベッドサイドに座り、優しい表情で、そっとほのりの頭を撫でる。
亜仙「絶対幸せにするから…」小声で