マンガシナリオ『九尾の息子は、生涯孤独の彼女を優しく甘やかす』


6月
○墓地、ほのりの両親命日
ほのりの両親の墓参りに来た亜仙とほのり。お墓に向かい手を合わせる2人。
ほのり(お父さん、お母さん。私いま、すごく幸せだよ)

ほのり「付き添ってくれてありがとうございました」
亜仙「ううん。遅くなったけど、ご両親に挨拶できてよかった」
ほのり「亜仙さんを見て、2人とも安心したと思います」
亜仙「だといいけどな。…じゃあ、次の目的地へ行こっか」
ほのり「はい」


○ブライダルジュエリーショップ
店員「東狐様、お待ちしておりました」
ほのり(亜仙さんが入籍に向けて、結婚指輪を見に連れて来てくれた)
店内貸切。席に案内され、目の前のショーケースを見る2人。
亜仙「おぉ、輝いとる」
ほのり「すごい…綺麗」
亜仙「本当に結婚指輪だけでいいん?俺的には、婚約指輪もあげたいんじゃけど」
ほのり「いえ、婚約指輪って付けるタイミングあまりなさそうですし、お揃いの結婚指輪をずっと付けていたいので」
亜仙「わかった」

店員から指輪のラインや素材の違いを説明してもらう2人の図や色々試着している2人のシーン。

ショップを出た後。
亜仙「出来上がるの楽しみじゃな」
ほのり「はい!」


数日後
○飛翔亭、夕方
受付の終わったお客様を案内しようとするほのり。若い男性4人組。※1番後ろに光輝、まだお互い気付いていない。
ほのり「お部屋にご案内いたします」
光輝の友達「お願いしまーす!」

案内が終わり、廊下に出たほのりに光輝が声をかける。
光輝「あの…」
ほのり「はい」
光輝「やっぱそうだ。ほのだよね?」淡々とクールな感じ
ほのり「え…」
光輝の顔をよーく見る。
ほのり「…えっ、こうくん!?」
小学生の頃の光輝と比べる描写
光輝「うん。久しぶり」
ほのり「わー、久しぶり。びっくりしたぁ」
光輝「それはこっちのセリフ。まさか旅館で働いてるとは」
ほのり「色々あってね」
光輝「そっか。ほの明日も出勤?」
ほのり「うん」
光輝「なら…」
光輝の友達「光輝ー?どした?」廊下に顔出して
光輝「いや、別に。…じゃあ、また」
ほのり「うん、ごゆっくり」
会釈して、去っていくほのりの後ろ姿を見届けながら部屋に入っていく光輝。

部屋の片付け作業をするほのり
ほのり(さっきはびっくりしたなぁ。…こうくんは、施設に入る前に住んでいた親戚の家の近所にいた一つ上の男の子。家に居場所のない私のことを気にかけてくれていた)

過去回想
○ほのり小3、光輝の小4
夕方の公園に1人でいるほのり、ベンチに座り読書をしている、ランドセル隣に置いてる
光輝「家、帰んねーの?」
ランドセル背負った光輝が現れる
ほのり「もうちょっと暗くなったら帰る」
隣に座ってくる光輝
ほのり「…こうくんこそ、帰んないでいいの?おばさん心配するよ」
光輝「別に俺男だし、ほのがここに1人でいる方が心配だから」さらっと言う
ほのり「…。」照れて頬染まる


現在。
夜、勤務時間が終わり私服に着替えたほのりに女将が声をかける。
女将「ほのりちゃん、お客様がお呼びで…こうきって言えば分かるって言われたんだけど、知り合いかしら?」
ほのり「はい、そうですね。たまたま昔の友達が泊まりに来られてて」
女将「あら、そうなのね。もう勤務時間も終わったし、館内で話してくれて大丈夫よ。ロビーでお待ちだから」
ほのり「分かりました。ありがとうございます。…お先に失礼します」

ほのり(今日は戌井さんが迎えに来てくれる日だから…少し待たせちゃう連絡入れとこ)

○ロビー
1人でソファに座る光輝の後ろ姿。
ほのり「どうしたの?」
向かいのソファに座りながら
光輝「お疲れ。疲れてんのに呼び出して悪りぃな」
ほのり「ううん。他の友達は?」
光輝「先に風呂行ってる」
ほのり「ここのお風呂最高だから、こうくんも後で癒されて」
光輝「うん。……綺麗になったな」
ほのり「…ん?私が?」
光輝「うん」
ほのり「まぁ、最後に会ったの小学生だしね。こうくんこそ、めっちゃ大人になっててびっくりした」
光輝「もう大学生だしな」
ほのり「そっかぁ、大学生…。大学生があの部屋に泊まるの意外かも」
光輝「一緒に来てる友達の親族が来る予定だったらしいんだけど、行けなくなって奇跡的に代わりに来させてもらえた感じ」
ほのり「へぇ。こっちの大学じゃないよね?」
光輝「うん、四国の大学に行ってる」
ほのり「あ、そうなんだ」
光輝「つーか、連絡先教えてよ。せっかく再会したし」伏せていたスマホを手に持つ
ほのり「えっ、あぁー…」
(彼氏とかいたことなかったから分からんけど、異性と連絡先交換ってありなの?)
亜仙「柏木さん」声のみ
スーツ姿の亜仙、後ろに戌井がいる図。
ほのり「亜仙さん…」
光輝を見る亜仙。光輝も亜仙を見る。
亜仙「お客様、本日はご宿泊いただきありがとうございます。話の途中で申し訳ないのですが、そちらの仲居とミーティングがありますので、席を外させてよろしいでしょうか?」
光輝「え、あーはい」
亜仙「柏木さん、行きましょう」
ほのり「あ、はい。…じゃあ、また」
光輝「うん」

○帰りの車内
後部座席に座る亜仙は、隣のほのりの手をずっと握っている。手元アップ。
ほのり「…。」
(帰りの車で、ずっと繋いでるの珍しい…)
チラッと亜仙を見る。亜仙は窓の外を見ている。
ルームミラーで後部座席を確認した戌井が、やれやれ、という表情になる。

○屋敷、ほのりの部屋、夜ご飯の後
ノック音
亜仙「ほのり、開けていい?」
ほのり「はい」
ドア開け、入り口付近に立つ亜仙。
ほのり「どうしました?」
亜仙「離れの露天風呂一緒に入ろ」
ほのり「え…」
亜仙「嫌?」
ほのり「いえ、大丈夫です」
亜仙「じゃあ、先に入っとくから準備できたら来て」
ほのり「あ、はい、わかりました」
(昨日の夜、離れで過ごしたばかりなのに、どうしたんだろう…)

○離れの露天風呂
亜仙の浸かる湯に入っていくほのり
ほのり「お邪魔します…」
ちゃぽん…
亜仙がすぐ横にくる。
亜仙「…キスしたい」
ほのりの返事を待たず、キス。激しくなっていく。
ほのり「…んっ…」
唇離れる
ほのり「…どうしたんですか?迎えの時から様子が違う気がします」
亜仙「…。」伏し目がち
ほのり「亜仙さん?」
亜仙「…あの男、絶対ほのりのこと好きじゃって…」
ほのり「…え?」
亜仙「昔の友達っていうのは、女将から聞いたけど、ほのりに向けるあの表情特別な感じした」
ほのり(あ、こうくんのことか)
亜仙「…。」不満そう、拗ねてる
ほのり(これはもしや…ヤキモチ?)きょとん
亜仙の子供っぽい表情。
ふっ、と口元緩むほのり。
ほのり「もぉ、何の心配をしてるんですか。私たちは婚約してるんですよ?他の人の好意なんて気にしてる暇なんかないですし、私は亜仙さんのことしか考えていません。亜仙さんは違うんですか?」
ハッとする亜仙。
嬉しそうに唇噛み締める。
亜仙「そうじゃな!俺ら相思相愛じゃもんな!…ほのり、大好き!!」抱きつく
幸せそうな2人

旅館の露天風呂で月を見つめる光輝の図。