前話から続き
○伏見稲荷大社、夜
狸原に絡まられるほのりを亜仙が助けに来た場面。
亜仙「何をなさっているんですか?」
狸原「おや、亜仙君。そんな怖い顔で見ないでおくれ」
亜仙「私に用があるのなら、直接言っていただければと思います」
狸原「いやいや、大したことはないんだよ。ただ…」
遮るように
麗妃「…ただ、なんじゃ?」言葉のみ
亜仙たちが横を向くと、麗妃と兄弟たちが揃っている。堂々とかっこいい感じ。
その後ろには戌井たち側近の姿。
狸原「これはこれは麗妃殿。今宵も素晴らしい行列でしたねぇ」
麗妃「無駄な社交辞令は要らぬ。さっさと要件を述べよ」
狸原「相変わらずせっかちなお方だ。…亜仙君を僕の養子兼後継者にしたいと思いましてね」
ほのり(!?)
ほのり以外も驚く表情、麗妃は動じず。
麗妃「ふむ、何を言い出すかと思えば、そんなことを企んでおったのか」
ほのり(亜仙さんを養子に!?後継者!?)
狸原「企むだなんて人聞きの悪い。僕は、伴侶を持たずにここまで来てしまいましたからねぇ。長年生きているとはいえ、麗妃殿と違っていつまで生きられるか分かりませんからなぁ」
麗妃「お主が死んでも、継ぐ者はいくらでもおるじゃろ。わざわざわしの子を選ぶ必要はないはずじゃ」
狸原「僕は人間を信用してないもんでねぇ。麗妃殿もそうでしょう?だから、半妖怪であるご子息、ご息女がぴったりなんですよ。亜仙君は仕事も出来るし、化ける才能も素晴らしい。それに、あなたの血を1番濃く受け継いでいる気がする」意味深な笑み
麗妃「…。」
亜仙「狸原会長、お褒めに預かり大変光栄に存じます。しかし、私も成人した大人ですので、自分の立場は自分で決めて生きております。東狐の名を捨てるつもりはありません」
狸原「はははっ、やはり君は立派だねぇ。一筋縄ではいかないことは重々も承知さ。今日はこの辺でお暇しようかね」
数人の付き人が現れ、狸原が去っていく。
亜仙「ほのり、大丈夫だったか?」
ほのり「はい。駆けつけてくれてありがとうございました」
戌井「私が側を離れたばかりに…本当に申し訳ございません」頭下げる
ほのり「戌井さん、謝らないでください」
○麗妃の屋敷
風呂上がり後の亜仙とほのりが、浴衣姿で部屋のソファにいる。戌井は別室。
亜仙「今日は朝から気を遣うことばかりでごめんな」
ほのり「いえ、お母様やご兄弟に紹介してもらえて嬉しかったです」
亜仙「俺も会わせることができてよかった。…要らない対面もあったけど」
ほのり(あ…)
「狸原って人が、前に言ってた狸の妖怪ですよね?」
亜仙「うん。狸原会長は、長年飲食業界を牛耳っとる。唯一東狐家が権力のない業界。母親とは大昔から知り合いみたいじゃけど、お互いによくは思ってないから」
ほのり(そうなんだ…)
亜仙「昔から他の業界も陣取ろうとちょくちょく仕掛けてくる人だったけど、まさか俺を後継者なんて言ってくるとはな」
ほのり「…ならないですよね?後継者も養子も…」少し不安そう
亜仙「なるわけないじゃん。そもそもあの人の養子に俺がなったら、ほのりもあの人の娘になるんよ?んなの絶対無理、本当に嫌。だから、ほのりが心配することは何もないけん」
ほのり「よかったです」
ほのりの後頭部に手を添える。
亜仙「…そろそろ布団行こっか。…早くほのりを感じたい」
ほのり「…はい」頬染まる
窓からの月の灯りをバックに、布団の上で亜仙が覆い被さる形でキスをするシーン。
○翌朝、屋敷の門
兄弟たちを見送る亜仙とほのり、戌井。
亜仙「皆さん、お気をつけて」
世城「亜仙兄様、戌井さん…ほのりさん、また会う日までお元気で」
葎花「次会う時は、たくさん話しましょう!」
義乱「皆、体調にはくれぐれも気をつけるように」
千畝「亜仙もこれから色々大変やろうけど、ほのりちゃんのこと守りんしゃいよ」
亜仙「もちろんです」
千畝「じゃあね、ほのりちゃん」
ほのり「はい、さようなら」会釈
それぞれ車に乗り込んで行く。ドアを開ける鮎川たち。
亜仙「よし!京都観光するか!」
ほのり「はいっ」
亜仙、ほのり、戌井で観光名所を巡るシーン。楽しそうな3人。
○麗妃の屋敷、夜
庭園を眺める麗妃。少し後ろに鯨瀬。
鯨瀬「皆様、無事にご自宅に到着されたようです」
麗妃「そうか」
鯨瀬「亜仙様と話し合いをされなくてよかったのですか?」
麗妃「狸原もすぐに動くわけではなかろうし、亜仙も自分の意思を持っておるから、急いで話すこともないじゃろう」
鯨瀬「かしこまりました。…素敵なお嬢様でしたね」
麗妃「ほのりか?」
鯨瀬「はい。まさか10代の女性を選ぶとは思いませんでしたが」
麗妃「お前、気付いておらんのか?」
鯨瀬「え…?」
麗妃「ほのりは、亜仙の命の恩人じゃぞ」
鯨瀬「え、まさか、あの時の女の子…」
麗妃「だから言ったであろう。亜仙は愛の重い男なんじゃ」
○帰宅途中の車内
戌井運転
後部座席のほのりは、横にいる亜仙に寄りかかり寝てしまっている。
そんなほのりの寝顔を見て、幸せそうな顔の亜仙。
過去回想
○14年前
亜仙(俺たち兄弟は、母親の持つ能力の内の一つを受け継いでいる。俺が受け継いだのは、生き物に化ける力。母親と違い、半妖怪の俺たちは力を使いこなすための練習が必要だった。10歳の時、森の中で1人練習していた時だ)
子狐の姿、草に隠れたとらはざみの描写
子狐の叫び声。
亜仙(禁止されているはずのとらはざみに片脚を挟まれてしまった。痛みで人の姿に戻ることも出来ず、ただただ悶え苦しんでいた俺の前に現れたのが)
4歳のほのり「きつねさん、だいじょうぶ!?」
子狐に
亜仙(ほのりだった)
ほのり「あっ、あしがいたいなっとる!…まって、いまとるから」
必死に金具を広げようとするほのり。全く動かない、指先から血が出る。
ほのり「ゔー、かたい…ごめん、いたいままだけどがまんしてね」
亜仙(意識が朦朧とする俺を抱き抱え、別の場所にいた両親の元へ連れて行ってくれた)
亜仙(目が覚めた時には、ほのりの住むアパートにいた)
小さなクッションの上に子狐のまま、脚に包帯巻いてる。
子狐(どこだここ…)
ほのり「あ!おとうさん、きつねさんおめめあけたよ!」
ほのり父「お、ほんとか」
親子3人が子狐に近づく。
子狐(この子、たしか…)
亜仙(その日から俺の怪我が治るまで柏木一家は、面倒を見てくれた)
一生懸命に世話や怪我のケアをする親子3人の図。
しばらく経ち
○動物病院
子狐の脚の様子を確認する獣医と見守るほのりたち。
獣医「うん、少し傷跡が残ってしまいますが、後遺症もなく治ってますね」
ほのりたち「よかったぁ」
ほのり「やだ!!きつねさんとはなれたくない!やだやだ、うちでかうのぉ!!」駄々こねてる
ほのり母「ほのり、一緒にいるのは怪我が治るまでって約束だったでしょ?」
ほのり父「うちのアパートはペット禁止なんだよ。治療中だけ特別に許可してもらっとっただけじゃから」
ほのり「ゔぅー、おうちひっこすー」泣く
子狐がほのりのそばに行き、優しく擦り寄る。
ほのり「…またあえる?」
頷く子狐。
子狐をぎゅっと抱きしめるほのり。優しく見ている両親。
現在
亜仙(ずっとずっと、ほのりを探していた。母親や兄弟の力を使わず、自分1人で探すのは時間が掛かった。だからあの日、狐の面越しに成長したほのりを見つけた瞬間、色んな感情が込み上げ、身体中が熱くなった)
見物客の中にほのりを見つけた時のシーン。
亜仙(ほのりについて調べた時、両親の死を知り胸が張り裂けそうだった。幼いほのりが辛さと孤独を抱えながら生きていたと知り、必ず俺が幸せにすると改めて思った)
「俺は、ほのりがいればそれでいい…」ぼそっと



