前話の続き
○京都の屋敷、大広間
兄弟5人が横並びに座っている全体図。美男美女。その後ろに秘書や付き人立って並んでる。
一人一人の顔と名前のショット。
先に入ってきたスーツ姿の烏藤と鯨瀬の上半身。その後ろから入室してくる麗妃の足元、着物の胸元。
麗妃の顔アップめ。美しさ際立つように。
ほのり(…っ!)目見開く
麗妃のあまりの美しさに、ほのりは驚きを隠せない様子。
ほのり(こんなに綺麗な人、初めて見た…。この人が、九尾の狐…)
上座に座る麗妃。
麗妃「みんな久しいのぉ。元気にしておったか?」
千畝「私達が元気かどうかなんて、言わなくてもお母様はご存知でしょ?」
義乱「千畝、お母様に失礼な言い方をするな」しかめっ面
麗妃「はははっ、よいよい。直接本人から近況を聞きたいのが、親心というやつじゃ。千畝は、忙しいのに執刀も多くしておるようじゃのう」
千畝「オペするの好きなの。それに重要なオペを他の人に託したくないじゃない?」
麗妃「さすがじゃな。…義乱、少し痩せたのではないか?」
義乱「仰る通りです。体が資本ですので、夏に向けて元に戻すよう努めます」
麗妃「今年の夏も猛暑になりそうじゃ、身体第一でな。葎花は、相変わらず楽しそうじゃのう」
葎花「はい、とっても楽しく過ごしております!トラブルも多々ありますが、兎田さんと一緒に乗り越えてます」
麗妃「あはは、兎田のおかけで楽しんでおるな。…この春も好調じゃったようだな、世城」
世城「はい、おかげさまで順調に進んでおります」
麗妃「よかったよかった。…そうじゃ、3月に世城、4月に亜仙のところへ狸原の奴が突然行っておったな。2人とも困らせたのぉ」
亜仙「いえ。ほんの少し言葉を交わしただけですので、何の問題もないかと」
世城「僕もです」
麗妃「そうかそうか。今夜の嫁入りにもやって来るじゃろうが、何をしでかすやら」
ほのり(狸原…。もしかして、前に亜仙さんが言っていた狸の妖怪?)
麗妃「まぁ、狸の話はどうでもよいな。…さて、亜仙は皆に大事な報告があるのじゃろう?」
兄弟たちが亜仙の方へ顔を向ける。
亜仙「はい…本日は婚約者の紹介をさせていただければと」
千畝「婚約者…?」
立ち上がった亜仙は後ろを向き、戌井に目で合図を送る。
戌井「ほのり様、亜仙様のところへ」
ほのり「…あ、はい」
亜仙が横に立ったほのりの腰にそっと手を添え、紹介を始めた。
亜仙「こちら、婚約者のほのりです」
お辞儀するほのり。
千畝「随分若い子やね」
葎花「世城と同じくらいかなぁ?」
亜仙「ほのりは18です」
世城「わぁ、僕より若いんだぁ」
義乱「…。」
ほのり(皆さんからすれば子供だよね…)
亜仙「年齢は関係なく、ほのり自身を愛した上で、結婚したいと考えています」
葎花「亜仙兄様は、相変わらずストレートに伝えるねぇ」
麗妃「その娘は、わしらがただの人間ではないことを知っておるのじゃろう?」
亜仙「もちろんです」
ほのりをじっと見る麗妃。緊張するほのり。
麗妃「ほのり、と呼ばせてもらっても構わぬか?」
ほのり「あ、はい…」
麗妃「ほのりは、亜仙のどこを好いとるんじゃ?」
ほのり「どこを……、優しいところやかっこいいところはもちろんですが、亜仙さんと一緒にいると、心が軽くなるんです。私らしくいることのできる存在で、この人と一緒に生きていきたいと自然と思えました」
嬉しそうな亜仙。
麗妃「良いなぁ、相思相愛というやつじゃ。亜仙はしっかりしとるが、意外と独占欲の強い男じゃ。少々重いかもしれんが、広く受け止めてやってくれ」
千畝「たしかに亜仙は、平和主義なくせに自分の欲しいものに対しては強欲な一面があったわ。ま、めでたい話じゃないの」
葎花「亜仙兄様が最初に結婚すると思ってたから、予想通りです!おめでとうございます!」
義乱「恋愛にうつつをぬかして業績を落とすようなことがなければいい」
世城「幸せな報告ですねぇ。姉様が3人になるのかぁ、嬉しいなぁ」
ほのり(結婚を認めてもらえたってことで、いいんだよね?)
○夕方
屋敷内の各部屋で髪を結ってもらったり、着物に着替えたりする兄弟たち。
亜仙とは別室で待機するほのりと戌井。
ほのり「今日の行事は、伏見稲荷でするんですよね?」
戌井「そうです。行列は伏見稲荷大社の本殿からスタートし、千本鳥居で折り返します。そして、本殿に戻って終了となります。1年に一度の行事ですので、何百人の見物客が来られますよ」
ほのり「すごい…」
屋敷を出る前
亜仙「前にほのりが見たのより迫力があるはずじゃから、楽しんでな。あと、今日は人が多いから戌井の側を離れんように」
ほのり「わかりました」
亜仙「戌井、ほのりのことよろしく頼む」
戌井「お任せください」
○陽が落ちてくる頃、伏見稲荷大社
鼻から上タイプの狐の面をつけた一同が本殿の前にずらりと並ぶ図、正面から。男性、袴紋付。女性の麗妃以外は、黒留袖。麗妃は白無垢。
先頭に義乱、2列目に亜仙と世城が横並び。三列目に麗妃、4列目に千畝と葎花が横並び。その後ろに大勢の付き人や使用人たちが続く。麗妃以外、手には提灯。
戌井や烏藤たちの側近は並ばず、面もつけず。大勢の見物客の中で周囲を警戒しつつ、それぞれ異なる場所で見ている。
客の中にひっそり狸原がいる図も。
狐の嫁入り行列が始まる。スマホや一眼レフで写真を撮り始める見物客たち。
ほのりと戌井は、千本鳥居の手前にいる。
麗妃たちが千本鳥居に来た時には夜、周りはライトアップされ幻想的な雰囲気。
ほのり(あ、来た)
面を付けた亜仙をじっと見るほのり。
ほのり(ほんとだ、迫力が全然違う。…亜仙さん、お面を付けててもかっこいいな)
ほのりの前を通り過ぎる時、亜仙が少し顔をほのりの方へ向け、口角が軽く上がる。
ほのり、ドキッとする。
折り返し、再び前を通り過ぎ、戻っていく後ろ姿を見届ける。
戌井「他の方々が移動してから、本殿に行きましょうか」
ほのり「はい」
ほのりたちが本殿に戻った。
ほのり「お手洗いに行ってきます」
戌井「では近くまで…」
ほのり「すぐ戻って来るので大丈夫ですよ」
トイレから出たほのりの前に狸原が現れる。付き人なし。
狸原「お嬢さん」
ほのり「…?」
(私のこと?)左右見る
狸原「君のことだよ」
ほのり「…何でしょうか」
狸原「お嬢さんは、亜仙君の彼女かい?」
ほのり「…。」困惑
狸原「おっと失礼。突然こんな質問をして、怖がらせてしまったかな?怪しい者じゃないから安心しておくれ」
ほのり(亜仙さんの知り合いなのかな?)
狸原「少し亜仙君のことで聞きたいことがあってね…」一歩ほのりに近づく
ほのり(え、なに…)
ばっ!
突然現れた面を外した姿の亜仙が、ほのりを守るように前に立つ。軽く狸原を睨む表情。



