純白の殺人

「なぜあんな場所で……?」

現場検証の最中、刑事の水島が漏らした疑問に、黒川は頷いた。
白石玲奈の遺体は、邸宅の中ではなく、あえて“外の庭”に置かれていた。まるで誰かに見せつけるように。

「犯人は、彼女を殺したあと、わざと庭に遺体を運んだ。雪の中に。」

「足跡は……消えてるな。」

「そう、降り続く雪が、全部隠してくれた。犯人にとって、雪は“共犯者”だったわけだ。」

そのとき、玲奈の姪であり、唯一の肉親である白石真琴(まこと)が屋敷に戻ってきた。
真琴は玲奈の養女として育てられたが、その関係には、誰にも知られていない秘密があった。

「玲奈おばさまは……自分で死を選んだわけじゃありません。誰かに、殺されたのよ。」

そう言った彼女の瞳には、涙はなかった。むしろ、どこか冷たい光が宿っていた。