オレンジ色に染まる、夕陽の下


「俺が撮ったあいつの写真は、コンテストに出したあの一枚きりだ……」

あんなにも胸を打たれた理由がわかると、かつて先輩自身が言っていたように、簡単に触れてはいけなかったことも知れた。

「……これは、出しません」

ぽつりと口に出すと、「だめだ」と、声が返った。

「この写真には、おまえの感性が入ってる。だから、これを出せ」

「ですが……、」

言いよどむ僕を、先輩がじっと見つめる。

「おまえは、どうしてこれを撮ろうと思ったんだ?」

「どうしてって、それは……、」

撮らずにはいられなかったから……。だけどそのわけを、すぐに声に出すようなことはできなかった。

黙り込んでいると、つぶさに目の奥が覗き込まれて、言わずには逃げられないと思う。

「……。……好き、だったので。……先輩を」

さっき先輩の叶えられなかった想いを聞いたこともあり、喉元を押し出すようにして告げた。

「好き?」と、先輩が片眉をぴくりとつり上げる。

「……最初は、写真に惹かれていました。だけど、ずっと見ているうちに、あなた自身を……」

そこまで言いかけて、うつむいていた顔をそろそろと上げると、怪訝そうに見下ろす眼差しとかち合った。

「……忘れてください。二度とこんなことは、口に出さないので」

再びうつむけた頬に、手の平の感触がひたりと触れた。