「……あいつの、墓だ……」
訊かなくとも、その一言に滲む切なさに、”あいつ”が誰なのかわかった気がした……。
「……ずっと想っていたんだ。ただそれを口にしたことは、一度もなかったが……。それでも友人としてでもそばにいられたらいいと、そう思ってた……なのに、」
と、先輩の声が詰まる。
「……そばにさえ、いられずに……」
震える手から、写真が取り落とされる。
拾おうと屈んだ拍子に、床にぽたりと涙滴が落ちた。
「……死んじまったんだ、あいつは。陸上部のエースだったあいつは、足を傷めてもう走れないとわかった時に、自分から命を絶って……」
堰を切ったように溢れたその想いに、床にしゃがんだまま、僕は何も言えなかった。
