急な大声にびくりと肩が震える。
「……すまない、驚かせて。けど、あれは、あの写真は……気に入るとかそんなチープな言葉で、評価してほしくはない……」
わかっていた──。あの一枚には、先輩の思い入れの強さが溢れていることを。だからこそ、自分自身がどうしようもなく惹かれたことも──。
その写真は──、夕暮れのグラウンドを一人走るランニング姿の少年を、背後からとらえたものだった。ひたむきに走り込む体躯の輪郭を、夕焼けのだいだい色がきらきらと縁取って、あまりに美しく印象的で胸を打たれた。
見た者にそれほどの感銘を与えるのなら、写真を撮った本人は、被写体へどれほどの思いの強さを込めたのだろうと、感じずにはいられなかった。
「僕も、あんな写真を撮りたいんです……」
小さく呟くと、「バカ言うな」と、鼻の先で笑われた。
「あれに、どれだけの深い思いが……」
そこまで言いかけて、先輩は口をつぐんだ。
そうして、「コンテストに出すなら、出せるような作品を撮れ」とだけ言って、もうそれ以上は何も話してはくれなかった──。
