オレンジ色に染まる、夕陽の下


「冷やかしなら、お断りだから」

椅子を立ってきた先輩に、部室の外へ両手で押し出されそうになる。

「冷やかしじゃありません。本気です!」

その場で否定をすると、

先輩は、またも「はっ!?」と声を荒げた。

「嘘言うなよ。今どき部員が一人しかいない、こんな寂れた部に入りたい新入生なんて、いるわけないんだよ」

「……でも僕は、入りたいんです」

いまだ扉を背に突っ立ったまま、簡単には引けないとばかりに、両手をぐっと拳に握りしめる。

開け放たれた窓の外には、最近では珍しい肌寒さに、まだ散ってしまわずにいた桜の木が、はらはらと花びらを零しているのが見えた。

「……おかしいだろ。だいたいカメラで写真なんか撮らなくても、スマホでいくらでも写せるし、なんならAIで画像の加工だってすぐにできるんだ。もう一度言うが、冷やかしなら、部員が大量にいるAI動画部にでも行けよ」

押しの強い先輩の言葉に、何度も首を振って返す。

「僕は、この部に入りたいんです!」

信じてほしい一心でそう宣言すると、

「おかしいだろ」と、再び先輩は口にして、それから「勝手にしろ」と、短く吐き捨てた。

「勝手に、します」

先輩は何も答えず、「はぁー」とため息だけを吐いて、作業台へ戻って行った。