「……俺も、好きだ、祐樹」
そう告げたあとに、「理由は、おまえと変わらないから」と、先輩はばつが悪そうに付け足した。
「こんなときにばっかり名前で呼ぶの、ずるい……」
気持ちが通じ合えた嬉しさを隠して、拗ねたふりをする。
「呼べばいい、俺の名前も。それでおあいこだろ」
「……拓人先輩」
「先輩は、よけいだ」
頬にあてられた手に、熱がこもる。
もう片方の手の指が、僕の唇をすーっと横になぞる。
口づけをねだるように瞼を閉じると、柔らかに唇が触れた。
「……祐樹、俺のそばにいろよ……ずっと」
キスの合間に漏らされた言葉に、こくっと頷いて、
「……ずっと、そばにいて……拓人」
オレンジ色の夕闇が降りる部室内で、温かな唇の温もりに身をゆだねて、いつまでも離れがたく、僕たちは抱き合った──。
終
