「会いたい人に"会いたい"と思われないことは、残酷だと思うんです」と連絡が届いた。「会いたい人がいるんですか」と僕は訊ね、「その人はあなたに会いたくないの?」と続ける。いっとき返信が来なかったから、スマホを机に置いて映画を観始めた。それはそれはド定番の恋愛映画で、「こんな展開ありえないだろ」と口に出してしまうほど。観ていても楽しくなくて、退屈でスマホを手に持ち、ゲームをしようと思ったが。通知が届いていることに気付いた。「会いたい人がいました。もう、会えないですけど」と書かれているそれを、僕はただ眺めることしかできなかった。未だ、テレビでは恋愛映画が流れている。
テレビから出てくる音を消して、この人にどんな返信をしようか悩む。「どうして会えないの」と訊くのは失礼かもしれないし、「いましたってことは、もういないの?」と訊くのも失礼かもしれない。「どうして会えないの。もういないの?」と僕は送信した。失礼だとしても、この人の本音を引き出すためには必要だと思ったから。また、いっとき返信が来なかったから、消していた音を出して映画を観始めた。仲良かった男性と女性が喧嘩をして、少し距離を置くフェーズまで来ている。きっと最終的に、仲良くなるだろうに。
尿意を催した。地味に遠いお手洗いまで行き、便座に座り、用を足す。観ている映画のことよりも、さっき言われた「会いたい人に"会いたい"と思われないことは、残酷だと思うんです」という言葉が脳裏を過る。手を洗い、リビングへと戻った。スマホが明かりを発している。見ると、「まだ生きてますよ。ただ、会えないんです」と送られていた。「私は会いたいと思っていても、相手が会いたいと思わなければ、会うべきではないと思うんです」と続けられる。はぁ、と深いため息を吐き、一旦スマホを置いた。テレビから出てくる音を消す。無音でも続けられる恋愛ごっこを眺めながら、どんな返信をしようかまた悩んだ。
辿り着かない答えを考えていると、映画内で男女がキスをするシーンが流れた。音を出して、どんな台詞を言うのか聞いてみる。「絶対に離さないから」と、ありきたりな台詞が飛び出てきて思わず笑ってしまった。音を消した。「会いたいと思われていないって、あなたの意見でしかないと思う。相手の意見も訊いてみたらいいのに」と返信をして、スマホを置いた。「そんな簡単に訊けたら苦しみませんよ。訊けないから会わない選択をしているんです」とすぐ、返信が届いた。文面には怒りが含まれていて、悪いことをしてしまったなと反省するけれど、「それは逃げているだけだと思うね。本当に会いたいと思っているの?」と、文字を打って送った。
映画内では、出演する役者が笑顔で役を演じている。何かあったのかと思い、音を出してまた映画を観始めた。BGMが鳴り、カメラが役者から空へと映像を移動する。青空の中にエンドロールが表示されていて、役者の名前や関係者の名前が綴られていく。「もしかして、あなたも同じ経験をしたことがあるんじゃないですか。そのとき、あなたは逃げたからこうして強く言っているんじゃないですか」と、返信が届いた。「そんな過去はありませんよ。強く言いすぎました、すみません。会いたいと思う側も残酷ですね」と返信して、ベランダに向かう。星を見た。未だ、エンドロールと共にBGMが流れている。
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テレビから出てくる音を消して、この人にどんな返信をしようか悩む。「どうして会えないの」と訊くのは失礼かもしれないし、「いましたってことは、もういないの?」と訊くのも失礼かもしれない。「どうして会えないの。もういないの?」と僕は送信した。失礼だとしても、この人の本音を引き出すためには必要だと思ったから。また、いっとき返信が来なかったから、消していた音を出して映画を観始めた。仲良かった男性と女性が喧嘩をして、少し距離を置くフェーズまで来ている。きっと最終的に、仲良くなるだろうに。
尿意を催した。地味に遠いお手洗いまで行き、便座に座り、用を足す。観ている映画のことよりも、さっき言われた「会いたい人に"会いたい"と思われないことは、残酷だと思うんです」という言葉が脳裏を過る。手を洗い、リビングへと戻った。スマホが明かりを発している。見ると、「まだ生きてますよ。ただ、会えないんです」と送られていた。「私は会いたいと思っていても、相手が会いたいと思わなければ、会うべきではないと思うんです」と続けられる。はぁ、と深いため息を吐き、一旦スマホを置いた。テレビから出てくる音を消す。無音でも続けられる恋愛ごっこを眺めながら、どんな返信をしようかまた悩んだ。
辿り着かない答えを考えていると、映画内で男女がキスをするシーンが流れた。音を出して、どんな台詞を言うのか聞いてみる。「絶対に離さないから」と、ありきたりな台詞が飛び出てきて思わず笑ってしまった。音を消した。「会いたいと思われていないって、あなたの意見でしかないと思う。相手の意見も訊いてみたらいいのに」と返信をして、スマホを置いた。「そんな簡単に訊けたら苦しみませんよ。訊けないから会わない選択をしているんです」とすぐ、返信が届いた。文面には怒りが含まれていて、悪いことをしてしまったなと反省するけれど、「それは逃げているだけだと思うね。本当に会いたいと思っているの?」と、文字を打って送った。
映画内では、出演する役者が笑顔で役を演じている。何かあったのかと思い、音を出してまた映画を観始めた。BGMが鳴り、カメラが役者から空へと映像を移動する。青空の中にエンドロールが表示されていて、役者の名前や関係者の名前が綴られていく。「もしかして、あなたも同じ経験をしたことがあるんじゃないですか。そのとき、あなたは逃げたからこうして強く言っているんじゃないですか」と、返信が届いた。「そんな過去はありませんよ。強く言いすぎました、すみません。会いたいと思う側も残酷ですね」と返信して、ベランダに向かう。星を見た。未だ、エンドロールと共にBGMが流れている。
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