パイは丸いから0キロカロリー

 口に蜜あり、腹に剣あり。
 意味 甘いものは別腹。



 立てば芍薬、座れば牡丹。
 私のこと、だったら良いんだけど、
 私と、別のもう一人、
 愛子とのこと。
 愛子は、背がすらっと高くて、美人。
 私は、背が低くて、見た目は猪八戒。
 イノシシ肉のボタン。
 太くて、平たくて、洋子って名前だから、
 太平洋なんて呼ばれたり。
 でも、愛子とは本当に仲が良くて、
 歩く姿は百合の花、
 だなんて、
 まあ、これは、私が勝手に言ってるだけ、
 だけど。けどけど、本当に、
 私たちは、とっても、仲が良い。

 愛子の家で、二人で女子会。
 愛子の手料理はいつも美味しくて。
 もうお腹いっぱい。
 愛子も同じ位食べてるのに、
「甘いものはー、べ、つ、ば、らー」
 なんて言って、
 大きな丸いお皿に、お手製のパイを。
「愛子ってさ、私と同じ位食べてるのに、
 ちっともさ、太ってないじゃん?」
 と私が言うと、
「何言ってんのよ、洋子、
 洋子はそのままで、
 とっても可愛いんだから。
 もしかして私の料理、美味しくなかった?」
「えっ、やっ、そんな、いっつも美味しいよ」
「でしょでしょ、じゃ、冷めないうちに、
 早く食べちゃお」
 愛子はパイを半分に切って、
「これ、パイ包みだから、
 これで包んで食べて」
 と私に渡す。
 もう半分は自分のお皿に乗っける。
「それじゃ、いただきます」
 と愛子は先に食べる。
「うーん、甘くて美味しい」
 本当に、同じ位食べてるのに、
 不公平だなー。
 そう思いながらも私は、

 半分に切ったパイを、
 サインで包んで食べた。