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週明け、大学へは流行りのコーデときちんとしたメイクで行った。
麗に連れて行ってもらったセレクトショップで、センス抜群の店員に選んでもらった装いだから間違いない。
「みんな、おはよう!」
友達に声を掛けると、皆一瞬ぽかんとして、「む、麦ちゃんっ?」と盛大に驚いてくれた。
「わああ、ど、どこで買ったのその洋服、か、かわいい……」
「お化粧、してる? してるよね?」
私はにかっと笑って、みんなに言う。
「全部教えてもらって揃えたんだよ! みんなもこういうの好きだったら一緒に買いに行こう!」
もちろん強要はしない。
だけど我慢してるだけなら私が突破口になる。
友人たちが互いの顔を見合わせている。
「もちろん、好きだよ。でも似合わないって知ってるからあ」
「うん。すごく羨ましいけど、私なんてどうせ……」
「笑われちゃうよ、私がそういう恰好したら……」
私の友達はみんな、奥ゆかしい。
「あのね、私も最初はそう思ったの。みんなと同じだよ」
また皆が顔を見合わせる。
「いつでも言って! 一緒に行こう!」
嫌われ者だった私を邪険にせず、そばにいてくれた大切な友人たち。
これからもよろしく――その想いを込めて言った。
皆で講堂へ向かう。
静かな足音で、小さなお喋りで。
廊下の先に睦美がいた。
自然と皆の足が止まったのは私の歩幅が変わったせいだろう。
綺麗に巻いたロングヘアとウエストが絞られたスカート、ブランド物のバッグ、足首の細さを際立たせるストラップのパンプス――いつもとなんら変わらないそのスタイルの睦美に、心がざわつかないといったらウソになる。
だけど私が逃げる必要はどこにもない。
「いこっ」
私は友人たちに声を掛ける。
「……(あ)」
友達のひとりが、教室の中に入ってすぐに口をぱくぱくさせた。
「……」
私もすぐに気づいた。
緩いはずのいつもの空気感が、今日の教室にはなかった。
視線の先に、睦美がただ突っ立っているのが見える。
「……みんな、おはよ」
誰も睦美に返事をしていなかった。
それどころか、いつもは睦美のために空けてあげる椅子にも荷物が乗ったままだ。
「……ねえ、どうしたの?」
静かな教室に睦美の震える声だけが聞こえる。
「……」
誰も睦美に視線を向けなかった。ただ軽蔑のこもった無言の横顔が見えるだけだ。
……そっか、金曜日に動画を見た人たちが拡散したんだ
加えて、私は日記を公開にした。たぶん麗か碧がその場所を教えたのだろう。
その結論に行き着き、私は細い息を吐いた。
先生が教室に入ってきた。
睦美はよろよろと空いている席に何とか座ったようだが、その背中は丸まったままだった。
――人から嫌われることがどういうことか、睦美もようやく知ることになる。
淡々と、ただその現実を想像した。
罪悪感も同情もなかった。
私にも、失った月日がある。

