鬼神様は女狐がお好き!

鬼の一族は直子を歓迎した。
 妖狐の一族で虐げられていたのが嘘のようだった。

 それでも、畳に座るたび直子の背筋が自然と伸びてしまうのは、ここが自分の死に場所だと身体が理解しているからだった。

『私を三十年後に召し上がる際はどうぞ皆さんで』
 微笑みながら直子が発した言葉に、周りは感動していた。

『どちらにしろ、そうするつもりだ。君が鬼の一族の命を繋いでいくのだから』
 影一郎から掛けられた言葉を、直子は冷めた心で聞いていた。

 鬼は妖の中で戦闘能力では最強だ。
 しかし、彼らは人肉を食べないと生きていけない。

 それ故に、昔から鬼は人間の敵とされていた。
 だが、今、鬼は人間たちと共生し尊敬されされている。

 慈善活動をし、貧しきものを助ける鬼を人間は自分たちの仲間のように受け入れていた。
 花嫁制度により人を喰らっているのに、鬼を恐れなくなった人間を直子は愚かに感じていた。

(鬼は人間を餌としか見てないのにね⋯⋯)

 鬼神家に到着してからというもの、直子は幾度となく影一郎の言葉に心を乱されることとなる。