エレナも荷物を取りに行き、レインとマインと一緒におしゃべりを続けていた時だった。
「男子はこっちに、女子はあっちに科ごとに並んでー!」
寮母さんらしき人が昇降口の前に来ていた。
「じゃあ、また明日ね」
「おう」
私とマインはレインと別れ、騎士科の女子の列に並んだ。
女子寮の一階、広々とした畳敷きのロビーに集められた私たちを前に、着物に割烹着(かっぽうぎ)をきっちりと纏った、ふくよかで優しそうな女性がパチパチと手を叩いた。
「はい、静かに!みんな揃ったかな?じゃあ、とりあえず女子寮まで行こう。ついてきて」
1分ほど歩き、女子寮に着いた。
「はいはい、静かに! 創星騎士魔術学院、女子寮へようこそ。私はここの寮母を務めている、おトネだよ。今日からあんたたちの第二の母親だからね、よろしく!」
おトネさんは腰に手を当てて、新入生一同をぐるりと見回した。
「さて、ここは国を守る防衛の要を育てる学び舎。普通の女学校とはわけが違う。快適に、そして安全に過ごしてもらうために、この寮の『三つの鉄則』を今から言うから、よーく耳に叩き込みなさい!」
おトネさんは指を一本立てる。
「一つ! 夜九時の門限は絶対厳守!」
「九時を過ぎたら、例え魔術で結界を張ろうが、騎士の怪力でこじ開けようが、一歩も中には入れないからね。外で瘴気に巻かれて魔物のエサになりたくなかったら、這ってでも時間内に戻ってくること!」
次に、二本目の指を立てる。
「二つ! 男子寮への立ち入り、および男子生徒の連れ込みは一切禁止!」
「いくら将来の『番』を探すためとはいえ、ここは神聖な女子寮だよ。不埒な不審者が紛れ込もうものなら、私のこの大ナタで叩き出してやるからそのつもりでね!」
おトネさんが壁に立てかけられた、大人の背丈ほどもある物々しい大ナタをパシッと叩くと、新入生たちの間にヒエッ……と短い悲鳴が走った。おトネさん、絶対にただの寮母さんじゃない、元・凄腕の騎士か何かに違いない。
最後に、おトネさんはふっと表情を和らげて微笑んだ。
「そして三つ。……困ったことがあったら、いつでも私を頼ること」
「ここは実家を離れたあんたたちの『家』なんだ。授業が辛かったり、戦うのが怖くなったり、あるいは親御さんのことで涙が止まらなくなったら……いつでも食堂においで。温かいお茶と、美味しいご飯を用意して待ってるからね」
その言葉に、私は胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。おトネさんは、お父様に傷つけられた私の心を見透かしているかのように、優しく目を細めてくれている。
「よし、お説教はここまで! 部屋割りはここに張り出してある通りだよ。鍵を持って、自分の部屋へ行きなさい。荷解きが終わったら、今日の夕飯は奮発して大盛りの牛鍋(ぎゅうなべ)だからね!」
「「「わぁっ……!!」」」
牛鍋という言葉に、教室での緊張が嘘のように、女子生徒たちから一気に歓声が上がった。
「男子はこっちに、女子はあっちに科ごとに並んでー!」
寮母さんらしき人が昇降口の前に来ていた。
「じゃあ、また明日ね」
「おう」
私とマインはレインと別れ、騎士科の女子の列に並んだ。
女子寮の一階、広々とした畳敷きのロビーに集められた私たちを前に、着物に割烹着(かっぽうぎ)をきっちりと纏った、ふくよかで優しそうな女性がパチパチと手を叩いた。
「はい、静かに!みんな揃ったかな?じゃあ、とりあえず女子寮まで行こう。ついてきて」
1分ほど歩き、女子寮に着いた。
「はいはい、静かに! 創星騎士魔術学院、女子寮へようこそ。私はここの寮母を務めている、おトネだよ。今日からあんたたちの第二の母親だからね、よろしく!」
おトネさんは腰に手を当てて、新入生一同をぐるりと見回した。
「さて、ここは国を守る防衛の要を育てる学び舎。普通の女学校とはわけが違う。快適に、そして安全に過ごしてもらうために、この寮の『三つの鉄則』を今から言うから、よーく耳に叩き込みなさい!」
おトネさんは指を一本立てる。
「一つ! 夜九時の門限は絶対厳守!」
「九時を過ぎたら、例え魔術で結界を張ろうが、騎士の怪力でこじ開けようが、一歩も中には入れないからね。外で瘴気に巻かれて魔物のエサになりたくなかったら、這ってでも時間内に戻ってくること!」
次に、二本目の指を立てる。
「二つ! 男子寮への立ち入り、および男子生徒の連れ込みは一切禁止!」
「いくら将来の『番』を探すためとはいえ、ここは神聖な女子寮だよ。不埒な不審者が紛れ込もうものなら、私のこの大ナタで叩き出してやるからそのつもりでね!」
おトネさんが壁に立てかけられた、大人の背丈ほどもある物々しい大ナタをパシッと叩くと、新入生たちの間にヒエッ……と短い悲鳴が走った。おトネさん、絶対にただの寮母さんじゃない、元・凄腕の騎士か何かに違いない。
最後に、おトネさんはふっと表情を和らげて微笑んだ。
「そして三つ。……困ったことがあったら、いつでも私を頼ること」
「ここは実家を離れたあんたたちの『家』なんだ。授業が辛かったり、戦うのが怖くなったり、あるいは親御さんのことで涙が止まらなくなったら……いつでも食堂においで。温かいお茶と、美味しいご飯を用意して待ってるからね」
その言葉に、私は胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。おトネさんは、お父様に傷つけられた私の心を見透かしているかのように、優しく目を細めてくれている。
「よし、お説教はここまで! 部屋割りはここに張り出してある通りだよ。鍵を持って、自分の部屋へ行きなさい。荷解きが終わったら、今日の夕飯は奮発して大盛りの牛鍋(ぎゅうなべ)だからね!」
「「「わぁっ……!!」」」
牛鍋という言葉に、教室での緊張が嘘のように、女子生徒たちから一気に歓声が上がった。
