シオンさんの大きくて温かい手に自分の手を重ねた瞬間、昼間の試合で交わした握手とはまったく違う、熱くて甘い緊張感が指先から全身へと駆け抜けた。
並んで歩き出すと、シオンさんは私の歩幅に合わせて、さりげなくゆっくりとした足取りで歩いてくれる。その優しさが、また私の胸をきゅんとさせた。
やがて、きらびやかな光が漏れ出す後夜祭の会場──大ホールへと辿り着く。
大きな扉がゆっくりと開かれた。
「──っ」
中に入った瞬間、凄まじい視線の波が一斉に私たちへと押し寄せてきた。
昼間の代表戦で、身体強化なし(生身)のまま大金星を挙げた「時の人」である私と、圧倒的な実力を持つ天才シオンさん。しかも、最高にドレスアップした二人が腕を組んで現れたのだ。会場が一瞬で静まり返り、次の瞬間には地鳴りのようなざわめきが広がっていく。
「嘘、あの上品で綺麗な女の子、本当に騎士科のエレナ……!?」
「シオン様と並ぶと、まるで一幅の絵画みたい。お似合いすぎる……」
周囲から漏れ聞こえる驚きとため息に、私は緊張で足がすくみそうになる。
けれど、隣を歩くシオンさんがそっと私の手を握り直し、安心させるように微笑みかけてくれた。その蒼い瞳に見つめられるだけで、不思議とすーっと緊張が解けていく。
私たちはそのまま、促されるように中央のダンスフロアへと導かれた。
パチン、と会場の明かりが少しだけ落とされ、天井の魔術回路から幻想的な星空のような光の粒子が降り注ぐ。同時に、ゆっくりとロマンチックな第一曲目のイントロが流れ始めた。
「エレナ、僕に身を委ねて」
シオンさんが低く心地いい声で囁き、彼の大きな手が私の腰にそっと添えられた。もう片方の手で、私の右手を優しく包み込む。
ぐっと距離が近くなり、シオンさんの心地いい香りが鼻腔をくすぐった。心臓の音がうるさすぎて、相手に聞こえてしまうんじゃないかと本気で焦る。
「シオンさん、私……緊張で足がもつれちゃいそうです」
ステップを踏み出しながら、私は小さく本音を零した。
するとシオンさんは、愛おしそうな目をさらに細めて、私の耳元に顔を寄せた。
「僕もだよ。みんなが君を見ている。……正直に言うと、こんなに綺麗な君を、他の誰にも見せたくないと思ってしまっているんだ」
「え……っ」
まさかの言葉に、私の頭は一瞬で真っ白になる。
見上げるシオンさんの蒼い瞳には、いつもの余裕な表情の裏に、私を真っ直ぐに見つめる熱い感情が揺らめいていた。
降り注ぐ魔法の光の中、私たちはまるで世界に二人きりになったかのように、ゆっくりとステップを刻み続ける。
私の紫紺の瞳に、シオンさんの蒼い瞳が映る。
(私……シオンさんの隣に、ずっといたいな)
昼間に磨き抜いた剣技で彼の懐に飛び込んだ時のように、今度はこの恋心ごと、シオンさんの胸へと飛び込んでいくような──そんな夢のような時間が、静かに流れていった。
並んで歩き出すと、シオンさんは私の歩幅に合わせて、さりげなくゆっくりとした足取りで歩いてくれる。その優しさが、また私の胸をきゅんとさせた。
やがて、きらびやかな光が漏れ出す後夜祭の会場──大ホールへと辿り着く。
大きな扉がゆっくりと開かれた。
「──っ」
中に入った瞬間、凄まじい視線の波が一斉に私たちへと押し寄せてきた。
昼間の代表戦で、身体強化なし(生身)のまま大金星を挙げた「時の人」である私と、圧倒的な実力を持つ天才シオンさん。しかも、最高にドレスアップした二人が腕を組んで現れたのだ。会場が一瞬で静まり返り、次の瞬間には地鳴りのようなざわめきが広がっていく。
「嘘、あの上品で綺麗な女の子、本当に騎士科のエレナ……!?」
「シオン様と並ぶと、まるで一幅の絵画みたい。お似合いすぎる……」
周囲から漏れ聞こえる驚きとため息に、私は緊張で足がすくみそうになる。
けれど、隣を歩くシオンさんがそっと私の手を握り直し、安心させるように微笑みかけてくれた。その蒼い瞳に見つめられるだけで、不思議とすーっと緊張が解けていく。
私たちはそのまま、促されるように中央のダンスフロアへと導かれた。
パチン、と会場の明かりが少しだけ落とされ、天井の魔術回路から幻想的な星空のような光の粒子が降り注ぐ。同時に、ゆっくりとロマンチックな第一曲目のイントロが流れ始めた。
「エレナ、僕に身を委ねて」
シオンさんが低く心地いい声で囁き、彼の大きな手が私の腰にそっと添えられた。もう片方の手で、私の右手を優しく包み込む。
ぐっと距離が近くなり、シオンさんの心地いい香りが鼻腔をくすぐった。心臓の音がうるさすぎて、相手に聞こえてしまうんじゃないかと本気で焦る。
「シオンさん、私……緊張で足がもつれちゃいそうです」
ステップを踏み出しながら、私は小さく本音を零した。
するとシオンさんは、愛おしそうな目をさらに細めて、私の耳元に顔を寄せた。
「僕もだよ。みんなが君を見ている。……正直に言うと、こんなに綺麗な君を、他の誰にも見せたくないと思ってしまっているんだ」
「え……っ」
まさかの言葉に、私の頭は一瞬で真っ白になる。
見上げるシオンさんの蒼い瞳には、いつもの余裕な表情の裏に、私を真っ直ぐに見つめる熱い感情が揺らめいていた。
降り注ぐ魔法の光の中、私たちはまるで世界に二人きりになったかのように、ゆっくりとステップを刻み続ける。
私の紫紺の瞳に、シオンさんの蒼い瞳が映る。
(私……シオンさんの隣に、ずっといたいな)
昼間に磨き抜いた剣技で彼の懐に飛び込んだ時のように、今度はこの恋心ごと、シオンさんの胸へと飛び込んでいくような──そんな夢のような時間が、静かに流れていった。
