蒼い椿椿と騎士科の少女

鳴り止まない大歓声の中、エレナは剣をひき、乱れた呼吸を整えた。
「エレナ」
シオンはさっきの驚いたような表情から一転、心底嬉しそうに微笑んだ。
「参ったな。本気出したんだけど。エレナ、楽しかったよ。ありがとう。」
シオンはそう言い、エレナにそっと手を差し伸べた。
さっきの試合の緊張感とは一転、いつものシオンさんに戻ったのを感じ、エレナは心臓の鼓動がさっきとは違う意味で早くなるのを感じた。
それをシオンに悟られないようにエレナは微笑み返す。
「うん。私も楽しかった。こちらこそ、ありがとう」
エレナは差し伸べられた手を握り、握手を交わした。

控え室に戻ると、手当を受けるために先に戻っていたレインが笑顔で待っていた。
「やったな、エレナ!やっぱり俺の見立ては正しかった!相打ちにして正解だったぜ!」
と、エレナの頭をぐちゃぐちゃになでまわしながら言った。
「ふふっ、そうね。でも、いきなりは辞めてほしかったな。結構びっくりした。」
「ははっ、ごめんな」
レインは、あんまり反省してなさそうにいった。
「怪我もしてたし…あんまりこう言うこと辞めてほしいんだけど…」
エレナは、不満げに言った。

そこに
「エレナ〜!」
まいんちゃんが飛び込んできた。
「ものすごくすごかった!感動しちゃった!」
「ありがとう。マインちゃんがこの前『やらないで後悔するよりやって後悔した方がいい』って言ってたのを思い出して、一人になった時に勇気が出たのよ!本当にありがとう!」
「エレナ…!」
二人は友情を確かめるように抱き合った。

ひとしきり喜んだ後、まいんちゃんがハッと我に帰った。
「大変!もう直ぐ後夜祭が始まっちゃうじゃない!急いで着替えないと!」
「あ!本当だ!それじゃあレインくん、またあとでね!」
「おう」

私は慌てて荷物をまとめてマインちゃんと一緒に寮に走った。