蒼い椿椿と騎士科の少女

【六章】
「じゃあ、行くか」
「うん!」
私は代表控え室をレインと出て、二人で特設リングへの向かう薄暗い廊下を歩き始めた。

歩き始めて少しした時、反対側からコツコツと人の歩く音が二人分聞こえる。
(誰だろう?)
少し緊張しながら歩きを進めると、反対側から来る人の姿がわかるようになってきた。
銀髪に蒼い瞳、魔術科の白いローブ、高い身長。
あれは、、、
(シオンさん?)

シオンさんがもう一人の魔術科の男子と共に歩いてきた。
もう少しですれ違うというところで互いに足を止める。


大歓声が廊下にまで響き渡る中、シオンはエレナの目をまっすぐ見つめる。
「君がここまで上がってきたこと、君と戦えることが本当に嬉しい。──でも、無理はしないで。絶対に怪我だけはしないでね」
(リンクに立ったら敵同士なのに…嬉しいな)
「うん。シオンさんも」
「ああ、ありがとう。それと…」
シオンはそこでいったん言葉を区切り、顔をエレナの耳元に寄せる。
「後夜祭で君をエスコートするのを楽しみに待ってるから」

その言葉を聞いた瞬間、熱が顔に一気に集まったように感じた。
でもエスコートされるということはこの人の隣にたつと言うこと。
(この人の隣に立って恥ずかしくない試合をしよう。絶対に勝つ!)
「はい。私もです。だから…試合、頑張りましょう」
「ああ。それじゃあエレナ、また、リンクで」
「はい!」

シオンは、隣の魔術科の人と一緒に去っていった。
「行くぞ、エレナ」
レインが声をかけてくる。
「うん!」
私たちは、大歓声の響くリンクの光の中へ一歩踏み出した。