カーテンの隙間から差し込む眩しい朝の光と、遠くから聞こえてくる賑やかな音楽の音で、私は目を覚ました。
「──ん……。あ、ついに今日だ……」
体を起こすと、隣のベッドではすでにマインちゃんが起き上がって身支度を始めていた。鏡の前で髪を整えながら、彼女は私に気づいてパッと顔を輝かせる。
「あ、エレナ起きた?おはよう! ついに文化祭当日だよ!」
「おはよう、マインちゃん。なんだか外、もう凄く賑やかだね」
「当然だよ! 年に一度の大イベントなんだから。ほら、エレナも早く準備して! 午前中は思いっきり楽しまなきゃ損なんだから!」
マインちゃんに急かされながら、私も制服に袖を通す。そして、いつも以上に丁寧に、愛用の騎士剣を布で磨き上げた。
鞘に収め、左腰へと吊るす。その心地よい重みが、私の背筋をピンと伸ばしてくれた。試合は午後からだ。だけど、私の心臓は朝からすでに小さな緊張のビートを刻み始めている。
「よし、行くよ!」
マインちゃんに手を引かれ、私たちはそわそわした熱気に包まれた部屋を飛び出した。
学園の敷地内に一歩足を踏み入れると、そこはまるで別世界のような光景が広がっていた。
空には魔術科の生徒たちが放った、色鮮やかな光の魚たちがスイスイと泳ぎ回り、木々の間には浮遊するランタンが淡い光を灯している。その下では、騎士科の生徒たちが威勢の良い声を張り上げながら、名物の串焼きや甘いチュロスの出店を並べていた。
「うわぁ……! 凄い、本当にお祭り一色だね!」
「でしょ? ほらほら、まずはあそこのチュロス買おう!」
午前中は、代表戦のことも少しだけ忘れて、私たちは全力で文化祭を満喫した。
口の周りに砂糖をつけながら食べるチュロスは絶品で、魔術科が展示している不思議な魔道具の数々を見て回るのも新鮮で楽しかった。
そんな中、出店の立ち並ぶ大通りを歩いていた時のことだ。
「あ、あれ……? ルカくん……?」
隣を歩いていたマインちゃんが、突然ピタリと足を止めて声を漏らした。
彼女の視線の先を見ると、少し離れた人混みの中に、魔術科のローブを着た一人の男子生徒が立っていた。優しそうな雰囲気を纏ったその男の子は、マインちゃんの声に気づいてこちらを振り向く。
「あ、マインさん! こんにちは。探してたんだ」
「えっ、わ、私を……!?」
マインちゃんは一瞬にして、これ以上ないくらいゆでだこのように顔を真っ赤にした。
二回目の合同練習で戦ったという、彼女の『気になる人』、ルカくんは、照れくさそうに頭を掻きながら、マインちゃんに小さな焼き菓子の袋を差し出している。
「これ、僕のクラスの出し物のクッキーなんだ。良かったら食べて」
「あ、ありがとう……! 大切に食べるね……!」
完全に二人だけの世界に入っている。いつもは私をからかってくるマインちゃんが、借りてきた猫のようにモジモジしている姿が新鮮で、なんだか愛おしい。
私はそっとマインちゃんの背中をツンツンとつつきながら、ニヤニヤとした笑みを浮かべて小声で囁いた。
「マインちゃん、頑張って。私、あっちの出店見てるからね」
「えっ、ちょ、エレナ!?」
慌てるマインちゃんをルカくんの元に残し、私は少し距離を取って、二人の微笑ましいやり取りを遠くから見守った。
(マインちゃん、凄く可愛い。……後夜祭、上手くいくといいな)
「──ん……。あ、ついに今日だ……」
体を起こすと、隣のベッドではすでにマインちゃんが起き上がって身支度を始めていた。鏡の前で髪を整えながら、彼女は私に気づいてパッと顔を輝かせる。
「あ、エレナ起きた?おはよう! ついに文化祭当日だよ!」
「おはよう、マインちゃん。なんだか外、もう凄く賑やかだね」
「当然だよ! 年に一度の大イベントなんだから。ほら、エレナも早く準備して! 午前中は思いっきり楽しまなきゃ損なんだから!」
マインちゃんに急かされながら、私も制服に袖を通す。そして、いつも以上に丁寧に、愛用の騎士剣を布で磨き上げた。
鞘に収め、左腰へと吊るす。その心地よい重みが、私の背筋をピンと伸ばしてくれた。試合は午後からだ。だけど、私の心臓は朝からすでに小さな緊張のビートを刻み始めている。
「よし、行くよ!」
マインちゃんに手を引かれ、私たちはそわそわした熱気に包まれた部屋を飛び出した。
学園の敷地内に一歩足を踏み入れると、そこはまるで別世界のような光景が広がっていた。
空には魔術科の生徒たちが放った、色鮮やかな光の魚たちがスイスイと泳ぎ回り、木々の間には浮遊するランタンが淡い光を灯している。その下では、騎士科の生徒たちが威勢の良い声を張り上げながら、名物の串焼きや甘いチュロスの出店を並べていた。
「うわぁ……! 凄い、本当にお祭り一色だね!」
「でしょ? ほらほら、まずはあそこのチュロス買おう!」
午前中は、代表戦のことも少しだけ忘れて、私たちは全力で文化祭を満喫した。
口の周りに砂糖をつけながら食べるチュロスは絶品で、魔術科が展示している不思議な魔道具の数々を見て回るのも新鮮で楽しかった。
そんな中、出店の立ち並ぶ大通りを歩いていた時のことだ。
「あ、あれ……? ルカくん……?」
隣を歩いていたマインちゃんが、突然ピタリと足を止めて声を漏らした。
彼女の視線の先を見ると、少し離れた人混みの中に、魔術科のローブを着た一人の男子生徒が立っていた。優しそうな雰囲気を纏ったその男の子は、マインちゃんの声に気づいてこちらを振り向く。
「あ、マインさん! こんにちは。探してたんだ」
「えっ、わ、私を……!?」
マインちゃんは一瞬にして、これ以上ないくらいゆでだこのように顔を真っ赤にした。
二回目の合同練習で戦ったという、彼女の『気になる人』、ルカくんは、照れくさそうに頭を掻きながら、マインちゃんに小さな焼き菓子の袋を差し出している。
「これ、僕のクラスの出し物のクッキーなんだ。良かったら食べて」
「あ、ありがとう……! 大切に食べるね……!」
完全に二人だけの世界に入っている。いつもは私をからかってくるマインちゃんが、借りてきた猫のようにモジモジしている姿が新鮮で、なんだか愛おしい。
私はそっとマインちゃんの背中をツンツンとつつきながら、ニヤニヤとした笑みを浮かべて小声で囁いた。
「マインちゃん、頑張って。私、あっちの出店見てるからね」
「えっ、ちょ、エレナ!?」
慌てるマインちゃんをルカくんの元に残し、私は少し距離を取って、二人の微笑ましいやり取りを遠くから見守った。
(マインちゃん、凄く可愛い。……後夜祭、上手くいくといいな)
