蒼い椿椿と騎士科の少女

まだ顔が火照っているのを感じながら、エレナは寮に戻り、部屋のドアを開けた。
「あ、おかえりー、エレナ」
「た、ただいま…」
「ん?どうしたの。顔が真っ赤よ?あ、さてはシオン様にあったわね?」
「なんでわかるの… 顔の火照りを冷やしてから戻るべきだった…」
「まあまあ、そんな悲しいこと言わんで、ほら、何があった〜?白状なさい!」
マインちゃんは、「逃がすまい!」というように私と距離を詰め、逃げないようにホールドした。
「え、えーと、代表戦の居残り練習の後、グレン教官から頼まれた書類を魔術科に届けようとしたらシオンさんに会いまして…」
「ふんふん」
「シオンさんに代表に選ばれたんだね、おめでとうって言われまして…」
「ふんふん」 
「その後ですね… 後夜祭のエスコートとダンスに誘われました…」
「わあーーー! 72.8%が現実になるわ!」
マインちゃんが興奮しまくり、ベッドの上を転げ回る。
「それでそれで?なんて答えたの?」
「えっとそれが、返事はまた今度でいいって言われたからまだ答えてないの。ねえ、本当にどうすればいいんだろう…?」

エレナは不安そうにマインを覗き込んだ。
マインちゃんは、少しの沈黙の後、優しくいった。
「自分の気持ちをまっすぐ伝えればいいんじゃない?」
「気持ちを…まっすぐ…」
「うん。エレナはシオン様に誘われてどうだった?嫌だった?嬉しかった?」
「嬉しかった…」
「うんうん、エレナはどうしたい?」
「できれば、シオンさんと一緒に踊りたい…!でも…」
「勇気が出ないと?」
「うん…」
「ねえエレナ、私は、やらないで後悔するより、やって後悔した方がいいと思うの。確かに、やってダメだったらその分とっても落ち込むと思う。でも、学ぶこともあるでしょう?ここがダメだったんだなとか、こうしたら良かったんだなとか。でも、何もやらなかったらやれば良かったっていう後悔しか残らないでしょう?学んだことは一つもない。結果が一緒なら、学んだことがある方がよくない?」
「そうだね。」
「うん。私は、エレナに後悔して欲しくない。本当に嫌だったら、後悔しないなら嫌って言っていいと思う。でも、1ミリでもまようなら、1ミリでも後悔するなら、勇気を出した方がいいと思う。」
「後悔、か…。そうだね、勇気、出してみる。」