勾玉遊戯:緋の杜の鬼と巫女の物語

01
 
 
 目が覚めると、傍らに、不気味なぐらい面差しの整った、ものすごく綺麗な人がいた。
 その人は、自分の顔をそこから見下ろして、
「もう大丈夫ですよ」
 と、言った。
「まだ少し不調を感じるかもしれませんが。時間が経てば半日ほどで回復すると思います」
 その時、自分の目から把握できたのは、自分が自分の部屋の寝台に寝ていたことと、知らない綺麗な男の人が自分の部屋にいたことと、その後ろに、両親の不安そうな顔があったこと。
 あたし。
 どうして。
 しばらく意識はぼんやりとしたところを漂っていて、これはいったいどういう状況なのかと考えた。
 考えて。
 次第に、事の次第を思い出す。
 思い出したら、自然と涙が出て来て、ゆっくりと瞬きをするとその涙があふれて流れていった。
 そうか。
 そうだ。
 無茶苦茶なことをして、むちゃくちゃなことになってしまったっていう自覚はある。だけど、そんなことをしてみても、叶えたいことは叶わなかった。
 自分の傍らにいる、誰だかまったく見当もつかない男の人は、『もう大丈夫ですよ』と言った。だけど、なにも。なにも、大丈夫じゃない。
 あたし。
 なにやってるんだろう――。