「そうかもしれませんね」




抵抗なく、するりと答える。
しかし、その隣で今度は羽生先輩がフリーズしていた。




「先輩?」


「え!あ!ごめん……驚いちゃって……」


「なにをそこまで……」


「だって、好きと思ってくれているなんて。その、夢にも……」


「おかしな人ですね。嫌うはずないでしょう」




逆にどうしたらこんな優しい人嫌えるんだ。
いるなら見てみたい。




「好きですよ。ちゃんと」


「うう、永遠ちゃん……なんでそんなこと言うの……もう」




また抱きしめられた。
耳もとで悩ましげな吐息が聞こえる。




「ほんと……うれしい。大好き」


「ありがとうございます」


「うん。愛してる」




ぎゅうううと力を入れられる。


眼前に広がるのはオレンジ色の空。
鼻腔をくすぐるのは石けんのにおい。
鼓膜を溶かすのは甘さを持った声。
いっそ、なにもかも……このままであればと願ってしまいそうになった。