「羽生先輩こそ、どうして死んでしまったんですか」
問い返せば、垂れぎみの目尻がほのかに震えた。
それから「まいったなぁ」と軽く笑う先輩。
「なるべくなら、あまり言いたくない。永遠ちゃんがどうしても知りたいって言うのなら話は別だけど……」
「あぁ、ならいいです」
「あっさりしてるなぁ」
「人の死因を無理強いするほど歪んでませんよ」
「そっか。ありがとう。なんかさ、言ったら永遠ちゃんに怒られそうだから……」
「すでに怒ってはいますけどね」
「ええ!?」
私は羽生先輩の驚き面に、ぐいと顔を寄せる。
「あなたは死んでいい人じゃないでしょう」
なぜ、死んでしまったのだ。
優しくて、温かなあなたが。
気づけば睨めつけていた。
羽生先輩はそんな私に息を飲んで、目を閉じる。
「僕はね、僕自身が納得して死んだんだ。だからなんの後悔もしていないよ」
「私は納得できません。遺された羽生先輩を愛していた人たちも同じでしょう」
「許してよ。どうしようもなかったんだ」
「いいえ許しません。自己中心的すぎる」
「そんなこと言われても、もう死んでしまったし。取り返しはつかないよ」
「……最低ですね。呆れました」
握り締めていたこぶしが震えた。
