ハッと顔を上げる。
まぶしいオレンジが一面に広がっていた。
生まれてこのかた、空など見ても綺麗だなんて思うことはなかったのに。沁み入るようなその色を見つめていると、背後から声をかけられた。





「永遠(とわ)ちゃんっ」





私の名だ。
振り返ると、端正な顔をした男性が、肩で息をしながら立っていた。
誰?
どこかで見たことあるような……


いぶかしむ思いが伝わってしまったのか、男性は苦笑いをした。
目を細めるその仕草に、どうしようもなく甘さを感じて胸がざわつく。



「僕だよ、忘れちゃった?」



顔をのぞきこまれ、瞳の中に閉じ込められる。
脳をゆすられた。記憶が奔流のようによみがえってくる。



「羽生(はにゅう)……先輩……」



自分でも驚くほど掠れた声で言えば、目の前の男は、それはそれは嬉しそうに破顔した。