「先輩、失礼します」
「え?」
手首の袖を伸ばして、羽生先輩の目尻を拭った。
こんなもので申し訳ないが、これしかないのだから許してほしい。
「泣かないでください。どうしたらいいか分からなくなる」
「え、あ……永遠ちゃ……」
「私がなにかしてしまったのでしょうか?それなら謝ります。だから……」
どうか、泣かないで。
湿っていくセーラー服の紺色。
すると、大きなてのひらが私の手を制止させた。
きゅっと力を入れられる。
「永遠ちゃん、落ち着いて。僕は大丈夫だから」
「……じゃあどうして泣いているんですか」
「泣いて、ないよ」
「泣いているでしょう。だから困っているんです」
見つめ合っているうちにも滔々とこぼれていく涙。
どうして泣くんだ。
あなたが泣く必要なんて……
「ついに……ここまで来ちゃったなって、思ったんだ」
綺麗な形のくちびるが、わずかに震えながら言った。
言葉の意味はわからないのに、心臓の奥深くがじんわりと切なさを帯びていく。
なに、これ。

