「先輩、お腹空きました」
「え」
「おかしな話ですね。あの世に来ても、私の胃は元気らしい」
疲労、憤怒
その先にあったのは単純な空腹感だった。
すくっと立ち上がる。
その時、腹部に痛みが走った。
「んっ……」
「永遠ちゃん!大丈夫?」
「はい……気にしないでください」
先ほどまでなんの感覚もなかったのに、どうしたのだろう。
おまけに大げさなほど心配げに眉を下げてくる羽生先輩の姿に胸まで痛んできた。
人の温もりに触れたからだろうか。
いや、それはないか。
「永遠ちゃん無理しないで。もう少し休んでいようよ」
「本当に大丈夫ですから。それに、これからいくらだって休めるでしょう」
羽生先輩を押し切って歩き出した。
なぜこんなにムキになっているのだろう、わからない。
「僕、永遠ちゃんになにかあったらまた死んじゃうよ」
「ははは、それは見てみたいものですね」
「ふざけないで」
「心配するなら手貸してください」
私から離れようとしない男に、てのひらを差し出す。
羽生先輩はどこか悔しそうに目を伏せたあと、渋々といった様子で私の手をとったのだった。
