「しかしあの世はいい所ですね。息がしやすい」
「ふふ、死んでるのに不思議だね」
「これからどうなるんでしょうか。私たち」
正確にはどうしたらいいのか、が知りたい。
当たり前だがあの世なんて未知だ。
閻魔大王に裁かれると思えばそうじゃないし。拍子抜けするほどここは穏やかな場所だ。
あらためて空だけではなく地上も眺めてみれば、荘厳な濃緑の山々たちが私たちを囲うように連なっているのが確認できた。
どこか郷愁をおぼえるのどかな景色。
害する者もいない安らぎだけの空間で、魂が消えるのを待つのだろうか。
それとも
「また、生まれ変わったりするんでしょうか」
「輪廻転生ってやつ?」
「はい」
「どうなんだろうね。でも、もしそうなら、僕は永遠ちゃんのいちばん近くに生まれたいなぁ」
愛おしげに言われる。
大概もの好きだ。この人は。
「私は、もういいかな」
「……」
「もう生まれ変わりたくないな」
なにも思い出せないけど、この胸に残っているしこりがそう強く訴えていた。
