憑かれ告られ愛となれ、そして友となれ!

 ヤミポンが俺の近くから居なくなって、実はだいぶ……多分かなり、俺の精神状態は不安定になっていたんだと思う。
 直後は風邪を引いてたし、年末年始でバタバタしてたし、暁に会えてテンション上がったり期末テストがあったりと、目の前のことに集中出来ていたのだけど進級してひと段落ついたあたりで、なんというか、なんかおかしかった。
 とにかく色んなこと、世の中についてとか、長くもないこれまでの人生のアレコレとかに「なんで!!??」と怒りを覚えたり悲しみに打ちひしがれたりして、どうにかならないのかとかどうにか出来る方法はなかったのかとか、どうにもなってない現状とかどうにも出来ない自分とかに更にイラついたり泣けてきたり、物事を大袈裟に受け取りすぎなのか今まで気付いてなかっただけで気付いたからにはちゃんと向き合わなきゃいけないことなのかもわからず、どう言葉にしていいのかわかんなくて人にも言えず。
 楽しいことがあって笑ってるときも、悩んでるはずなのに呑気だな! と自分に対してイラッときて、流石におかしくない? まだ自分に向けてるけど他人に向け始めたら本当に良くないし、別に悩みがあっても楽しく過ごすのは良いことだろ、とイラついた自分に対してイラついた。負のループだ。
 今までこんなことなかった。今までと何が違うんだろう? と考える。
 まず、ヤミポンが居ない。でもヤミポンと過ごしたのは数ヶ月だし、暁には会える。
 ヤミポンが居た頃も四六時中喋ってたわけじゃないし、気配もずっと感じ取っていたわけじゃなくて意識して探ることのほうが多かったし、日中の生活は今とそれ程変わらなかった。
 あの頃は夜が交流タイムだったから今似たような状況を作るなら通話をしたら良いのかと思って試したけど、通話は切った後にはっきりと気配が絶たれてしまう。あれは嫌だ。ずっと繋いでいるのは落ち着かないし、通話はしないことにした。
 航琉くんとの通話は嬉しいし、切った後でも幸せな気持ちが続いて、いつも喋り足りないから次会ったときは何話そうかな、なんて考える。
 多分、俺の中で『航琉くんは消えない』と信じきっていて、『ヤミポンが消えるのは嫌』だからなのだろう。
 寂しいんだとは、思う。『寂しい』の一言にまとめるのは、違う気がする。
 もう一点、違うことといえば七不思議巡りをしていないことだ。
 こっちは数ヶ月どころか高一の頃からやってるわけだから、根深い。
 妙な気分転換だったり、非日常感による現実逃避だったりを味わっていた気もする……次に行く場所のことや日程の計画を練って過ごすのが常だったから、それをしなくなって考えることがなくて頭が暇なのかも……。
 それに悪いことをしていたわけだから、疑問や怒りはバレたときに向けられるものだと思っていて、自分が向ける側にはならなかった。「なんで!!??」を自分に向けられそうなうちは自分が何かに向けなくて済む、と。
 まじで、悪いことはするもんじゃない。悪行によって自身を保っていたとなると、悪行から抜け出せない。
 足を洗いたい! と思い、自首した。
 担任と校長に
「実は夜中に何度も学校に侵入してたことがあって」
 と、言いに行くと、怒られて母さんを呼ばれて面談の後反省文を書き、
「本来なら停学だけど最近は成績も良いし服装以外の問題行動はないから、次からはやらないように」
 とだけ言われて終わった。個人情報の管理されている職員室の鍵は開けられていなかったことが良かったらしい。確かに職員室には侵入していない。
 でもそんなんで済まされていいわけあるか! と怒りが湧き、担任と校長を連れて近くの交番に行きお巡りさんに自首したら
「学校側で解決しているなら、今回はそれで。次からはやらないようにね」
 と言われて終わった。
 お年頃のヤンチャで済まされた気がする。時代は令和だぞ? 時代じゃなくて地域性か? おおらか過ぎない? 俺が言う資格ないけど、もっと厳しくしたほうがいいんじゃないのかなぁ……。
「何かあったら相談に来なさいね」
 と担任にも校長にもお巡りさんにも言われ、じゃあ七不思議巡りをもうしないために代わりになるアイディアはあるか聞いたら、三人で考えて地域や県内の伝承巡りを勧めてくれて、伝承の場所は自分で調べてチャリで巡って一箇所一枚の紙にまとめて、担任校長お巡りさんに都度報告しに行ったら仲良くなった。
 まだ自分への「なんで!!??」感が足りなくて、物凄く美味しくないと言われる健康ドリンクを飲んでみるとか(割とオススメだ。「なんでこんなことをしたんだ……」と自分に対して疑問に思う味がした)、雨予報の日にあえて雨具を持たないとか(あまりオススメしない。髪がベシャベシャになる)、母さんの電動チャリを借りてあえて電源を入れずに使うとか(まじでオススメしない。苦行。まじで意味がわかんなかった)をして、今は結構落ち着いた。
 意味の分からない行動って精神の安定の役に立つみたいだ。