憑かれ告られ愛となれ、そして友となれ!

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 昨夜は久々の自分の体を動かす感覚にちょっとふらつきながらも何事もなく家に帰った。
 航琉くんは案の定令和変身ヒーローを見ているらしく、そちらも良いが平成変身ヒーローをお勧めしておいた。サラッサラの髪の毛してるのに何故ポマードを持っているのか聞くと、
「ポマードを投げると勝てる妖怪がいるそうなので念のため」
との答えだった。
 勝ち負けのある競技みたいな妖怪がいるのか……?
 学校の七不思議には少し詳しいけど、それ以外の妖怪についてはよく知らない俺は航琉くんから話を聞き、なんだかんだで会話は盛り上がった。
 久々に人と話をしたけど、やっぱり楽しい。
 こんなに楽しいのに友達が要らないなんて、俺に入っていた中の人は絶対に損をしてる。

 夜中に帰宅したとき母さんと妹の光莉は寝てたけど、今朝俺が寝坊したときは感動した声で叩き起こしに来た。
 叩き起こされて不貞腐れた態度を取ったら、
「元に戻ったのね!」
「お兄ちゃんだ!」
 なんて泣きそうな顔で二人から抱きしめられた。一瞬反射みたいに体がビクついたのは俺自身も驚いた。スキンシップは嫌いじゃないし、スポーツ観戦で応援チームが勝ったときとか、ウチではハグはよくやるほうだから慣れてるのに。
 母さんはそんな俺の反応に『何か辛いことがあったのか』と聞きたそうにしてたけど、聞いてプレッシャーを与えたり思い出させたりしてはいけないと考えたようで、ぐっと堪えて泣きそうな笑顔で俺の頭を撫でていた。
 特に辛いことは起きてないし、問題もないのだが説明がしづらい。
 なんらかに取り憑かれて体が勝手に動いてた、なんて言ったら大ごとになりそうだ。
「ちょっとした……二重人格?」
 と誤魔化し、
「とにかく大丈夫だから」
 と繰り返し、
 遅刻は確定したのでのんびりパンを食べ、食器は俺も洗ったほうが良いかなと思っているうちに母さんが「いいからいいから」とニコニコと片付けられてしまった。
 こうなるとやることは一つ。
 オシャレだ。
 鏡の前に立ち、制服のシャツのボタンは3つ開け、ネクタイは下げ、ズボンは腰パン。
 ワックスで髪を立てて、毛先は鋭利に仕上げる。
 最高。完ッ璧だ。
「燈李……!」
「お兄ちゃんだ……!」
 再び感動してくれる母さんと光莉に手を振り登校し、遅刻で先生から注意され、何人かのセンスのないクラスメイトからは「燈李、この前のほうが服装似合ってたのに!」と嘆かれ、授業中に寝ては注意を受け、当てられた問題は解けず、昼休みに至る。