気付けば11月も半ば過ぎ、文化祭当日。
航琉くんは早めに七不思議巡りを終わらせたがっていたけど、文化祭準備期間で忙しかったのと夜まで人が残っていたのもあって、探索は休止中……というのは建前の言い訳で、俺はもう航琉くんを巻き込みたくなかった。一緒に行動したがってくれるし、気持ちの面で救われてはいるけれど、危ない目に……それも俺自身のせいで遭わせてしまうかもしれないと思うと、一人で居るよりもそっちのほうが怖かった。
「いたいた、花芽木!」
文化祭の午後、一通りの担当業務を終えて航琉くんと自由時間を楽しんでいたとき大きな声で呼び止められた。
「なにかご用事ですか?」
航琉くんは振り向いて穏やかに応える。さっきまで仮装コンテストで石膏像をやっていたのが気に入ったらしく、白塗りのままだ。俺のほうはクラスの出し物として時代錯誤コスプレ喫茶をやっていたので平成ギャルの格好をしている。
相手はおそらく野球部の人だ。ユニフォームを着ている。校庭でバッティングセンターを開いているそうだから、後で行ってみようと思っていたところだ。今日は色んな衣装のまま校内を歩く人も多く、野球部の人は俺らの格好も見慣れたもののようで、そのまま話を続けた。
「前にさ、人探ししてただろ? 卒業生。スミスズ……? とかいう。来てるよ、美術部の展示のところ」
「え」
驚いたのは俺の方だった。全く手掛かりもなかったのに、こんな簡単に。
「行きましょう。ありがとうございます!」
航琉くんは野球部の人にお礼を言い、俺の手を引っ張ってくれた。
ディスタンスは解かれてる。何かが起こればそのときに離れようと思ってそうしたけど、ヤミポンは閉じこもったみたいに出てくることはなかった。
