憑かれ告られ愛となれ、そして友となれ!


「なんで、殺すとかそういう極端なこと言うの」
 航琉くんがプールを離れて行くのを見ながら、俺は中空に問いただした。
「俺には、話してくんないの。何があったのかとか、悩んでることとか」
 ――うわああん…!
〈悩み? そのガキがウザい。それくらいだ〉
 ウザい、か。普段なら鬱陶しいとかいう言い回しをするから、不機嫌のアピールをされているのかな……わからない。彼が何を考えているのか。
「お前は、なんで死んだの」
〈無意味なことを聞く。なぜ生きてる? 生きたいから。それと同じだ。ゴミの分別のほうが近いか。要らないから捨てる。それだけだ〉
「分別のときに、何か思うことがあったんじゃないの」
 少しだけ、間が開いた。子供の霊はずっと泣いている。
〈言ったところで何になる?〉
「俺は言ったじゃん! 言って、聞いてもらって、良い方向に向かってるって思っ、」
〈キミは生きているからな! 生きていれば過去を乗り越え良い未来に向かうのは素晴らしいことだろう。僕の場合は? 死について思い出せって? 忘れるわけないだろ! 解決しないから死んだんだ! キミの父お……〉
 俺の、父さんみたいに……? 続く言葉は、きっと『助からなかった』だ。
 ――うわああん!!!
〈違う、今のは、違う。売り言葉に買い言葉……いや、違くもないか。僕が思ったから、僕の発言として出たんだ〉
 日は完全に落ちていて、空は暗く、雲が月を覆っている。
 いつだったか、似た空模様を水墨画みたいだと感じた。
〈僕は性格が悪い。キミはそれを理解しておいたほうが良い〉
 合成音声は、とてもなだらかにそう言って静かになった。
 子供が泣きじゃくる声を残して。