憑かれ告られ愛となれ、そして友となれ!

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「ん!」
〈は?〉
 日曜の午後。都会の大きな図書館の前。良い感じの緑豊かな公園が広がっている。勿論目当ては公園じゃなくて図書館だ。
 俺はヤミポンを呼び出し、体を受け渡す気満々で手を広げて目を閉じてみている。
 俺の体を使えば透けずに本が読めるはず。
〈……その格好は〉
 服装は令和式。ヤミポンが体を使うとしたらそっちのほうがしっくりくるだろうからだ。髪もフワッとさせた。俺イメージのヤミポンの私服スタイル。物凄く勝手な想像によるシンプル綺麗めファッションである。
「似合う? 普段はもっとゴテゴテしてるのが好きなんだけど、今日くらいはね」
〈……妙な提案をされそうな予感しかしない……〉
「当たり! 俺はあんまり本読まないけど、ヤミポンは読むタイプだろ? 俺のナイスボディな体を好きに使って図書館を楽しんでくれ」
〈図書館にボディのナイスも何もないだろ〉
「燈李さんの……カラダを、好きに使う……!?」
 見守りとして付いてきてくれた航琉くんは胸を押さえて何らかのダメージを喰らった動きをしたが、まぁいいや。
〈危険だとは考えないのか。霊……つまり僕に取り憑かれていると考えられる今の状態だって、安全の保証はどこにもない。安易に憑依すべきじゃない。遊園地のときはあの場で倒れたら頭を打ってそちらのほうが危険だと判断した。階段から落ちそうな位置でもあった。今は僕がキミを動かす必要がない〉
「言うと思った。今まで危ないことなんてなかったじゃんか」
〈今まで何もなかったからといってこれからも何もないとは限らないだろう。航琉くんからも言ってやってくれ〉
「いえ、そのための付き添いの僕なんです」
〈は?〉
 お怒りの聞き返し二回目。
「一応心霊現象だってのは分かってるよ。だから何かあったら航琉くんにブン殴ってもらえばどうにかなるんじゃないかなと思って。それならヤミポン安心だろ?」
 航琉くんにはメッセージでやりとりをして、そのお願いをしてある。ヤミポンはこちらのプライベートを極力見ないようにしてくれているので、今まで黙っておいた。体を使うことを提案するとさっきみたいに有り難いお説教をブチかましてくる。俺は口喧嘩には弱い。不利だ。となるとこういうことは直前で言うしかない。
「何もないとは思いますが、念のため。殴るのは……おそらく出来ないので、お寺や病院に連れていきたいと思います」
「おぅ! よろしく! じゃ、行こ!」
〈おい、待て! 僕は了承してないぞ! キミの体を使う気なんてないからな! 止まれ! 不快だ! 引っ張られる!〉
 図書館に入る俺に反発しようとその場に踏み留まったり逆方向に行こうとされたりしたが、三歩制限で俺から離れてられないヤミポンは引っ張られてしまっている。ちょっぴり不憫。でもこのくらいしないとどうにもならない。
 図書館を前にした輪郭が、見惚れるように建物を見上げていたのを俺は見逃さなかったのだから。