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「付き合う付き合わないは、やっぱり僕が考えることじゃないと思う。今はちょっとした二重人格なわけだし」
「いや、だからその二重人格? どうしたの? って聞いていいものなの?」
「一時的なものだと思うから、気にしないで」
大介と話しながら、俺の中の人は昇降口に向かって歩く。
別に中の人が付き合うぶんには止めないけどな、俺は。航琉くんが好きなのはお前なわけで、付き合うにしろ断るにしろ、ちゃんと向き合ってやればいいのに。
出会いがどうであれ、その後が大事だろ。現に……
「大助くーん!」
噂をすれば、まぁ噂はしてないけど、本人。大介の彼女の遥さんだ。
廊下の向こうから段ボール箱を持ってやってくる。
「遥ちゃん!」
大介は数トーン上がった声で彼女の名前を呼び、ニコニコとしている。
「冬角くんも。やっほ」
「どうも……?」
俺と遥さんはそれ程面識がないし、俺のファッションの違いにも疑問文を浮かべた返事にも遥さんは気付いていないのか気に留めていないのか、大介と幸せな雰囲気を醸し出している。微笑ましい光景だ。
一年の頃入学早々に一目惚れでナンパをしたとかで、以来相思相愛っぷりが続いている。
大介と遥さん曰くドラマチックな演出もなく勢いだけの出会いだったそうだけど、出会いがどうであれその後のお互いを想う気持ちが大切なんだろうなと俺に思わせたカップルだ。
だから俺の中の人も屋上でヒーロー如く航琉くんを助けたのはドラマチックでも、あしらってばかりは良くない! 航琉くん頑張り屋さんみたいだし、俺は応援したい。
「大助くんも冬角くんもお友達多いでしょ? 落とし物の持ち主わからないかな」
遥さんは持っていた段ボール箱の中を俺たちに見せた。
「一年以上前の落とし物で、『持ち主不明にてご自由にお待ち下さい』って生徒会の前に置いてたんだけど、そろそろ古いから処分しようって話になって」
ペンやハサミ、片方の手袋やマフラー等、これといって特徴的でも高そうでもない、見つからなくても新しいのを買えばいいかな……と思うようなものが沢山ある中で、目を引くものがあった。大介も同じらしい、手に取っている。
「これ、夕焼けかな。綺麗だな」
ストラップだ。
小さなプラスチックのケースの中に絵が入っている。
絵が入っている、というか絵を撮った写真が入っている。こんな小さな絵を描くのは大変だからだろうけど、写真を撮ってまでストラップにするなんて相当気に入っていたのかな。
紺とオレンジのグラデーションに、薄く柔らかそうな雲と輝く小さな星が描かれた油絵。
「そうなの。私も綺麗だなって思って。ここにある全部誰かの大切なものかもしれないから落とし主に返せたらいいんだけど、二人とも心当たりないかなぁ」
「ほら、燈李も」
大介がキーホルダーを俺に見せてくる。
「朝焼けだろ。僕は好みじゃない」
俺の中の人は本当に空気が読めてない。
「捨てていいんじゃないかな、全部。探しに来ないってことは、要らないってことだよ」
そう言ってキーホルダーを殆ど見もせずに「じゃあ」と俺の体は大介を背にし、学校を出た。
俺はもう少し見ていたかったな、あの絵。結構きれいだし、同じ作者で他の作品もあるなら見たい。チラッと目に入った『T.A』の文字の特徴を掴むには、俺の体が視線を向けてくれていた時間は短すぎる。
「付き合う付き合わないは、やっぱり僕が考えることじゃないと思う。今はちょっとした二重人格なわけだし」
「いや、だからその二重人格? どうしたの? って聞いていいものなの?」
「一時的なものだと思うから、気にしないで」
大介と話しながら、俺の中の人は昇降口に向かって歩く。
別に中の人が付き合うぶんには止めないけどな、俺は。航琉くんが好きなのはお前なわけで、付き合うにしろ断るにしろ、ちゃんと向き合ってやればいいのに。
出会いがどうであれ、その後が大事だろ。現に……
「大助くーん!」
噂をすれば、まぁ噂はしてないけど、本人。大介の彼女の遥さんだ。
廊下の向こうから段ボール箱を持ってやってくる。
「遥ちゃん!」
大介は数トーン上がった声で彼女の名前を呼び、ニコニコとしている。
「冬角くんも。やっほ」
「どうも……?」
俺と遥さんはそれ程面識がないし、俺のファッションの違いにも疑問文を浮かべた返事にも遥さんは気付いていないのか気に留めていないのか、大介と幸せな雰囲気を醸し出している。微笑ましい光景だ。
一年の頃入学早々に一目惚れでナンパをしたとかで、以来相思相愛っぷりが続いている。
大介と遥さん曰くドラマチックな演出もなく勢いだけの出会いだったそうだけど、出会いがどうであれその後のお互いを想う気持ちが大切なんだろうなと俺に思わせたカップルだ。
だから俺の中の人も屋上でヒーロー如く航琉くんを助けたのはドラマチックでも、あしらってばかりは良くない! 航琉くん頑張り屋さんみたいだし、俺は応援したい。
「大助くんも冬角くんもお友達多いでしょ? 落とし物の持ち主わからないかな」
遥さんは持っていた段ボール箱の中を俺たちに見せた。
「一年以上前の落とし物で、『持ち主不明にてご自由にお待ち下さい』って生徒会の前に置いてたんだけど、そろそろ古いから処分しようって話になって」
ペンやハサミ、片方の手袋やマフラー等、これといって特徴的でも高そうでもない、見つからなくても新しいのを買えばいいかな……と思うようなものが沢山ある中で、目を引くものがあった。大介も同じらしい、手に取っている。
「これ、夕焼けかな。綺麗だな」
ストラップだ。
小さなプラスチックのケースの中に絵が入っている。
絵が入っている、というか絵を撮った写真が入っている。こんな小さな絵を描くのは大変だからだろうけど、写真を撮ってまでストラップにするなんて相当気に入っていたのかな。
紺とオレンジのグラデーションに、薄く柔らかそうな雲と輝く小さな星が描かれた油絵。
「そうなの。私も綺麗だなって思って。ここにある全部誰かの大切なものかもしれないから落とし主に返せたらいいんだけど、二人とも心当たりないかなぁ」
「ほら、燈李も」
大介がキーホルダーを俺に見せてくる。
「朝焼けだろ。僕は好みじゃない」
俺の中の人は本当に空気が読めてない。
「捨てていいんじゃないかな、全部。探しに来ないってことは、要らないってことだよ」
そう言ってキーホルダーを殆ど見もせずに「じゃあ」と俺の体は大介を背にし、学校を出た。
俺はもう少し見ていたかったな、あの絵。結構きれいだし、同じ作者で他の作品もあるなら見たい。チラッと目に入った『T.A』の文字の特徴を掴むには、俺の体が視線を向けてくれていた時間は短すぎる。
