憑かれ告られ愛となれ、そして友となれ!

「すんっっっごかった!!!!!」
 ヒーローショーは凄かった。子供騙しとか想像してて申し訳ございません。
「すんっっっごかった!! ヤバイ!! アクションが!! 戦ってるときも戦ってないときもパフォーマンスが、キャラが立ってて!!」
 ごめんほんと、語りが止まらない。止められねぇんだ。
「ベランダみたいなところからバンバン人が落ちる!! ハラハラしたよ!! 迫力がさ!!」
 航琉くんはうんうんと頷いて真面目に聞いてくれている。
「後半のピンチのときも心から『頑張れ!』って応援しちゃったよ……! 公演後の握手も撮影も最高だった……」
 ヒーローとの握手券、そして一緒に撮影の券も航琉くんは取っていてくれていた。俺と航琉くんとヒーローが一緒に映った一枚。勿論俺と航琉くんの手前に一枚ずつだ。
 家宝にする。このままヒーローショーの興奮と幸せで死んだら遺影にしてほしい。
「何よりもやっぱり公演前のお出迎えがさ、すごかったよ。居るんだもん、ヒーローが……!」
 もう語るだけ語ろうと開き直り、俺はしみじみと思い出しながら話した。
「あの場に居たヒーローはテレビの俳優さんが中に入っているわけじゃないし、テレビのスーツアクターさんでもないけど、なんか、ヒーローなんだ、って……ヒーローがここに居るんだ! って思った。本物が居たよ」
 自分で言ってて支離滅裂だなと思うから、聞いてる方は尚更だろう。それでも航琉くんは真面目に頷いてくれた。
「お出迎えヒーローの登場場面をお見せ出来なかったのが残念です。すみません、時間をしっかりと把握してなくて……」
「絶対また来よう!! そのとき見ようよ!!」
 俺が何気なく言ったその言葉に、航琉くんが止まった。
「また……?」
「……あ……」
 光莉や大介と遊びに来るのとは違う。デートをして、そのあとで告白の返事をする、そういう話だった。
 俺は、彼の想いを断って終わりにしようとしている。だから『また』は来ない。
「どうして……」
 どうして、一緒に過ごして楽しそうなのに?
 無意識で『また』なんて言うのに?
 嫌いなわけではないのに?
 どうして、駄目なんですか――
 彼の次の言葉が、思い浮かんでしまう。
「話を、しませんか」
 ああ、もう、終わってしまうのか。
「うん」
 歩道橋のときと同じだ。俺は頷くことしか出来なかった。
 あのときと違うことはふたつ。
 俺が俺の姿であること。
 そして、先延ばしにせず話し合うときがきたということ。