憑かれ告られ愛となれ、そして友となれ!

 アトラクションに乗ったり、食べ物を食べたり、野外ステージを見たり。あちこちに面白いものがあって次々に気になるものが目に入って、色んな人がいて遊園地は賑やかで好きだ。
 カラフルで派手な格好の人、スーツ姿の大人、様々なファッションの人達、家族連れ、友達グループ、俺たちみたいに男二人組も結構いる。
 ふと、航琉くんが目の前を歩く男女を見ていることに気が付いた。そのカップルは手を繋いでいる。
 よく見なくても男女で手を繋いでいるペアは多い。男二人では、見かけたことがない。俺の見識が狭いだけだといいけど……そんなことはないのだろう。
 航琉くんも、繋ぎたいと思うのだろうか。
 前に、教室に来ていたよく知りもしない他クラスの生徒から馬鹿にされたときのことを思い出した。
 数が多くない者が人の目に触れると、珍しくて変なものとして変な目を向けられることがある。航琉くんは自分が人と違うことをしたせいで、好きな奴が周りから変な目で見られるのを気にする人間だ。あのときも、謝っていたもんな。
 俺は誰にどう思われようが気にしないけど……でも、手を繋ぐ資格が俺にはないんだ。俺が恋人なら、俺から繋いでやりたかった。

「あっ!!!」
 オシャレな飲み物を飲みながら、スマホで現行ヒーローの公式動画を一緒に見ていたとき航琉くんが急に大きな声を出した。
「ど、どうした?」
「時間! うっかりしてました! 開演はまだですが、開演前にヒーローと入り口で握手が出来るんです! 開演の10分前には居なくなっちゃうかもしれません! 今すぐ行きましょう!」
「お、おぉ?」
 まぁ確かに映像のヒーローはカッコいいけど実際にリアルで目の前で、ってのは子供騙しになるんじゃないのかなぁ? 正直あんまり期待はしてない。だからそこまで急がなくても……もうちょいここで二人で動画見てるのも楽しいし……とは思うけど、俺を楽しませようとしてくれてる航琉くんに水を差したくないし、行かないとだ。
「ええと、道は……」
 航琉くんは焦っているのか、迷子になりそうな雰囲気で地図を回している。時計を確認すれば、開演10分前には急いでギリギリかもしれない時間だ。
「たぶん、こっち!」
 俺はつい妹の光莉と遊園地に来たときに道案内するのと同じように航琉くんの手を取った。ダッシュは危ない。こういうときは急ぎ足だ!
「えっ!? わっ!」
 航琉くんは手を引っ張られてびっくりした声を出していたが、急ぎ足で一緒に歩いてくれた。