-1章-
屋上。
9月。
秋晴れというにはまだ暑い、高く青い空。
一人の男子高校生が、縁に立っている。
腰ほどの高さの柵を乗り越え――
少し離れた場所で彼を見ていた、もう一人の男子高校生が声を上げる。
「待っ……」
その男子高校生の中に、何かが入って行った。
飛び降りようとした男子高校生を、声を上げた男子高校生が引き上げる。
何はまだ入ったまま。
男子高校生と男子高校生と、中に入った何か。
これが、僕らの奇妙な出会いだった――
とでも思ってくれていれば幸いだけど、俺の中に何かが入ったことは俺とその何かしか分かっていないと思う。俺も見えてなかったし。
文字通り身体が勝手に動いてた。そりゃ動かしてるの俺じゃないもんな。
俺の中には今なお何かが入ってて、その何がコイツを助けたってワケだ。ヒーローだなぁ。
ほらね、向こうさん見惚れちゃってる。ネクタイの色からするに一年生か。俺の1個下だ。15歳かそこらにして飛び降りなんて、なにかあったのかな……。
白めの肌、体格は俺よりもほんの少し背が高そう。いかんせん今は俺(の身体)もソイツもへたり込んで息を整えているところだから、具体的なことはよくわからない。
呼吸が落ち着くと、見惚れた目線だけでなくソイツはパッと顔を上げた。
モテには苦労しなさそうだなぁ……と真っ先に思う程度には、第一印象は「整ってる」。
息は荒れているが、眉一つ動いていない。
その整った顔が深呼吸をし、
「好きです」
と、整ったまま言い放った。
……え?
