憑かれ告られ愛となれ、そして友となれ!

 昼休み。大介と喋りながら弁当を出していると、教室の入り口でこちらを覗っている航琉くんが目に入った。タイミングを図ってるのかな。いつもみたいに唐突に入って来ればいいのに。よくわからないけど目が合ったので手招きしてみれば、おずおずと俺達の机にやってきた。
「……あの、本当に、お昼をご一緒しても良いんでしょうか」
「へ? いいよ。なんで?」
 そっちから提案してきたのに、急にどうしたんだ? 大介も首を傾げている。航琉くんは周囲に目を向けていて、申し訳なさそうに小さくなっているように見える……。
「もしかして、今朝の?」
 あの通りすがりの、こっちのことなんも知らない奴の、嫌な言葉。あの音量じゃ、そりゃ聞こえてたよな。
「申し訳ないです。僕が居たら、嫌な気持ちにさせてしまう」
「そんなことない!」
 デカい声が出た。
「どう考えても航琉くんは悪くないだろ!」
「えっ……? あ、え、と」
 大介が大きく頷いているのを視界の端に捉えながら、俺は航琉くんを見据えて続けた。
「別にお前が相手じゃなくても誰かと恋愛をしたかもしれないし、そのときは俺が自分で言いふらして回ったかもしれないし、そしたらああいう奴らから今朝と同じ反応をされる。お前は悪くないよ」
「そう、ですか」
 あくまで"誰かと恋愛をしたら"の仮定の話だ。"変身して敵を倒す"くらいに俺にとっては現実味のない話だけど、航琉くんが悪くないことを引き合いに出すには合っていると思う。
 航琉くん、いつも以上に口下手というかまごついている様子で、ほんの少し頬がピンク色になっているような気のせいなような。
「あ、あの、ト、トモ」
 ジリリリリリリ!!!
「うわぁっ! 燈李、音量デカすぎ! びっくりするだろ」
 航琉くんがモゾモゾと何かを言おうとしていたとき、俺のスマホの着信が爆音で響いた。
 画面を見るが……何も書かれていない。着信音は勝手に切れて、
〈話がある。屋上に来い〉
 と、瞬時には肉声と区別がつかない、合成音声の声がした。中の人だ。
 これからが昼の楽しいひとときなのに……。でも俺も話したいと思っていたところだ。五分休みに何度話しかけても無視しやがって。
「悪い、ちょっと行ってくる。先食べてて」
 二人にそう言い、俺は教室を出た。後ろで大介が航琉くんに「がんばれっ!」と励ますように応援の声を掛けているのが聞こえる。
 俺も航琉くんの恋を応援したい。中の人に出てきてもらわないと話にならない。