憑かれ告られ愛となれ、そして友となれ!

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〈生きていない場合は、どうしたらいいわけ?〉
 机に置いていたスマホから、合成音声の声がした。それ程不自然ではないけど、よく聞くと抑揚が独特だ。
 柔らかめの中音域の男性の声。中の人が俺の体を使っていたときの声色に似ている。
 スマホ画面が光り、壁紙にしている平成ヒーローが輝いている。大介につけてもらった落とし物のストラップもその光を眩しそうに受け止めていた。このストラップはあのあとよく見たけど、『T.A』のイニシャルにこれといった特徴は見受けられなかった。
「ポ、ポルターガイスト……?」
〈御名答。正解だ。苦労したよ。キミってば鈍すぎる。話しかけても聞こえないみたいだからそろそろ諦めようかと思ってたところだ。こっちも色々試したけど……モノを動かすのは簡単じゃない。これならどうにかなりそうで良かったよ〉
「え、でも子供の声は聞こえたけど」
〈……見えてるの?〉
 『見えてた』じゃなくて『見えてるの』という聞き方ってことは、この場には居るのか。
「見えてはないけど、時々聞こえる。なんで助けてやんねーの」
〈ああいった類の輩は同じ言葉を繰り返してるだけだ。印象に残った物事を再生し続けている。単純で分かりやすいからキミみたいなのにも感知出来るのかもな。何にせよソレに対してこちらからアクションを起こす意味はない〉
「でも」
〈それが要件? つまらない話題だな〉
 要件は色々ある。主に『なんなんだお前』な内容についてだ。とりあえず『何者なんだ』の意味じゃなく『何様なんだ』の方向からツッコミたい。
「お前、性格悪いだろ」
〈初めて言われたよ。お褒めにあずかり光栄だね〉
 真面目だと思ってたのに! コイツ、外ヅラが良いタイプか。
〈僕の性格よりキミの生活を気にしたほうがいい。こんな時間だし、寝たら? 朝起きられないだろ〉
 いや、相変わらず真面目だ。
「色々聞きたいんだけどな。確かにこのタイミングで寝坊したら光莉が気にする。ひとつだけ質問なんだけど」
〈何?〉
「お前は俺の二重人格なの?」
〈違う。赤の他人だ〉
 あっさりと。だろうとは思ってたけど。
「なら、ありがとう」
〈は?〉
 俺は布団に潜りながら言った。
「航琉くん、助けてくれて。一番はこれが言いたかった。じゃ、おやすみ」
〈……おやすみ〉
 なんとなく笑みが溢れ、そのまま「ふふっ」と笑い声が出てしまった。
〈何?〉
「いや、寝る直前におやすみって言っておやすみって返ってくるの、良いもんだなと思って」
〈何だそれ〉
「おやすみー」
〈はいはい、おやすみ〉