憑かれ告られ愛となれ、そして友となれ!

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 紛うことなき航琉くんだ。何と紛うことが出来るんだ、このイケメンならぬ美形。手に持ったスマホの画面の明かりが顎の下あたりから当たっていても顔はやっぱり整っている。
「メッセージを見たので」
「メッセージ……? あっ!!!」
 スマホか!!! ポルターガイスト!!!
 俺はスマホを取り出し、メッセージアプリを確認する。
 そこにはこちら側が送ったとされる身に覚えのない文面が残っていた。
『夜の学校でデートしようぜ!☆』
『これから行くぜ! 返事はいらないから、急いで来いよ!☆』
 俺、こんなこと言うふうに見えてんのか……? 
 航琉くんが整った顔でこちらを見ている。
「弁明させてくれ」
「? はい」
「このメッセージは俺じゃない」
「二重人格の方、ですか?」
「……知ってたのか」
 そりゃ、そうか。先週、好かれて一週間毎日告られたのは中の人が俺の体を使っていたからだ。中の人は二重人格だって言いふらしていたし。というか航琉くんからしたら、俺の方が二重人格の方なのでは。メインじゃないほう、副人格ってやつだっけ。航琉くんのメイン……つまり目当ては中の人なのだから。
「ご友人さんから聞きました。ええと、ダイスケさん……? からです」
 疑問符がついている声色だったけど彼なりに考えて名前を思い出そうとしたのだろうから、不機嫌になるにもなれない。
「それに、先週は二年生の廊下で噂になっていましたし。二重人格らしいとか、前よりかっこよくなったとか」
「前よりかっこよく……お前もそう思う? 平成スタイルは屋上のちょっとだけしか見てないし、そのあとは令和の格好の二重人格のほうと過ごしてるから、お前にとっては『前よりかっこよく』も何もないか。えーと、分かりにくいよな、一応俺がメイン人格で、お前を助けたのが二重人格のほう。ごめんな、かっこ悪い方が実は主体でさ」
「かっこいいかは、否かはよくわかりません。人の見た目に関しては疎いので」
「あぁ、なるほど……だから俺にも告白してきてたのか。二重人格で見た目結構違う方だぞ俺ら。分かりやすく別人だろ」
「告白は、なんとなく……? 好きだと思ったので」
 こいつ、なんとなくの雰囲気で恋してやがる。
「なんとなくで告白出来るもんなの? まさか手当たり次第とか……」
「そんなわけない! 告白したのは、トモ……いえ、貴方を好きになったからです。手当たり次第に人を好きにはなりません」
「だからそれは俺じゃないってば……手当たり次第誰彼構わずってよりはマシだけど……」
 相変わらず、真っ直ぐに見つめてくる。調子狂うなぁ。
「せっかく来てもらっておいて悪いけど、帰っていいよ。二重人格のほうは表に出る気がないみたいだから」
「なぜ、僕は呼ばれたんでしょうか」
 スマホがぶるりと震え、画面を見るとメモアプリが立ち上げられていた。
『体調不良を起こし七不思議探索中危い目にあったのは、以前の彼の言葉を借りるとキミが前科一犯。それを救った者として彼は実績一つだ。同行してもらえ』
 画面に表示された文字列は、中の人のポルターガイストによるものだろう。
 覗き込まない限り航琉くんからは見えない距離だ。航琉くんは人のスマホを覗き込むことはない。そういうところだ。もっと嫌なやつなら、嫌がることが出来るのに。
「一理ある、一理あるけど……」
「?」
 一理あるけど、気まずい。
 でも一理ある。万が一また階段から落ちそうになったり、打ち所が悪くて死亡事故に繋がったなんてことが起こったら、至る所に迷惑をかけてしまう。
「あの、さ」
「はい」
 俺は悩みに悩み抜いて、口を開く。
「七不思議の一つの音楽室をこれから見に行く予定なんだけど、一緒に来てくれない……」
「わかりました」
 それでも誘うことに抵抗はあり疑問の発音を出さずに落ち込んだ声で言ってみたものの、彼は即座に了承をした。