***
翌日、白銀宮の自身に与えられた執務室でルビンは書類と向かい合っていた。
白銀宮へと昨晩遅くに匿名で提出された封書。
社交界の黒薔薇――リジュア・ヴェリティが過去に婚約を破綻させた証拠資料の提出だと説明されていた。
封書に入っていた複数の書簡は一見すると確かに証拠だった。
婚約者を持つ男へとリジュアから送られたとされる手紙の写し。
面会の記録。
婚約を壊された男たちの証言。
(このタイミングで――か?)
まるで早くリジュアを断罪しろとでも急かしているように白銀宮へと舞い込んだ資料。
受領記録の残る正式な書簡で届けられており、白銀宮としても無視するわけにはいかなかった。
ルビンは被害男性の証言書を目で辿る。
”リジュア・ヴェリティの魅力に抗えなかった”
”色仕掛けに翻弄された”
”婚約者との関係が壊れた”
結果だけが並び、婚約が破綻した理由もリジュアと被害男性が接近した理由も詳細はない。
リジュアを悪者へと仕立て上げるよう結論づけている。
「――ルビン様」
補佐官の一人がノックの後に入室してきた。
「上がリジュア・ヴェリティの調査を早めるようにと仰っています」
「――ああ。わかっている」
ルビンは立ち上がって、白銀の外套を肩へとかけた。
「馬車の手配を頼む」
「はい。どちらに向かわれますか?」
「ヴェリティ伯爵家だ」
「黒薔薇本人とお会いするのですか?」
「それが一番手っ取り早い」
「かしこまりました」
ルビンはポーカーフェイスを崩さないまま、執務室を後にした。
翌日、白銀宮の自身に与えられた執務室でルビンは書類と向かい合っていた。
白銀宮へと昨晩遅くに匿名で提出された封書。
社交界の黒薔薇――リジュア・ヴェリティが過去に婚約を破綻させた証拠資料の提出だと説明されていた。
封書に入っていた複数の書簡は一見すると確かに証拠だった。
婚約者を持つ男へとリジュアから送られたとされる手紙の写し。
面会の記録。
婚約を壊された男たちの証言。
(このタイミングで――か?)
まるで早くリジュアを断罪しろとでも急かしているように白銀宮へと舞い込んだ資料。
受領記録の残る正式な書簡で届けられており、白銀宮としても無視するわけにはいかなかった。
ルビンは被害男性の証言書を目で辿る。
”リジュア・ヴェリティの魅力に抗えなかった”
”色仕掛けに翻弄された”
”婚約者との関係が壊れた”
結果だけが並び、婚約が破綻した理由もリジュアと被害男性が接近した理由も詳細はない。
リジュアを悪者へと仕立て上げるよう結論づけている。
「――ルビン様」
補佐官の一人がノックの後に入室してきた。
「上がリジュア・ヴェリティの調査を早めるようにと仰っています」
「――ああ。わかっている」
ルビンは立ち上がって、白銀の外套を肩へとかけた。
「馬車の手配を頼む」
「はい。どちらに向かわれますか?」
「ヴェリティ伯爵家だ」
「黒薔薇本人とお会いするのですか?」
「それが一番手っ取り早い」
「かしこまりました」
ルビンはポーカーフェイスを崩さないまま、執務室を後にした。



