不意にルビンが告げる。
リジュアの微笑が凍りつく。
リジュアは白銀宮の調査対象になっているのだ。
ルビンに知られていたところで何ら不思議ではない。
「お前が黒薔薇と呼ばれていることと関係あるのか?」
前を向き直して歩むリジュアは背中でルビンの問いを聞く。
「わかりませんわ。勝手に、そう呼ばれているだけですもの」
リジュアが答えると前方に男のシルエットが見えた。
ヴェリティ家の馬車が待機している場所へリジュアを待ち構えていたかのようにエリオス・マッコードが立っていた。
「私の婚約者がお世話になったようで」
穏やかにエリオスは一礼する。
カリナはエリオスにリジュアと会うことを告げていないはずだ。
「カリナは人を信じやすいところがありまして、周囲の大人が見守らなければなりません」
柔らかな声音だったがエリオスは言外に語っている。
――カリナの言動は自分が把握していると。
支配欲を見せ始めてきている。
「そうかしら。カリナ様はご立派な淑女でございます。ご自分で考えて行動なさることも大切だと思いますわ」
リジュアが微笑み返すと、エリオスの口許が引き攣った。
もし、ここでリジュアと二人だったら、本性を見せていたかもしれない。
しかしリジュアの後ろには、あの白銀宮の断罪官が控えている。
「またお会いできる日を楽しみにしております。それでは失礼」
エリオスは優雅に一礼して見せるとレイノルズ侯爵家の屋敷へと戻っていく。
なぜかリジュアには、その別れの言葉が警告に聞こえた。
「――外面が良い男……」
「似ているのか?」
いつの間にか隣に並び立つ男に質問を受ける。
目線を上げれば、夕陽に淡く照らされる極上の美形がリジュアを見下ろしていた。
「――お前の姉の夫に」
継がれたルビンの言葉。
リジュアはルビンから逃れるように視線を逸らした。
「本当に、断罪官様はわたくしが苦手な見方をされる方ですわ」
静かに空を見上げたリジュアはルビンの問いに否定を返さなかった。
リジュアの微笑が凍りつく。
リジュアは白銀宮の調査対象になっているのだ。
ルビンに知られていたところで何ら不思議ではない。
「お前が黒薔薇と呼ばれていることと関係あるのか?」
前を向き直して歩むリジュアは背中でルビンの問いを聞く。
「わかりませんわ。勝手に、そう呼ばれているだけですもの」
リジュアが答えると前方に男のシルエットが見えた。
ヴェリティ家の馬車が待機している場所へリジュアを待ち構えていたかのようにエリオス・マッコードが立っていた。
「私の婚約者がお世話になったようで」
穏やかにエリオスは一礼する。
カリナはエリオスにリジュアと会うことを告げていないはずだ。
「カリナは人を信じやすいところがありまして、周囲の大人が見守らなければなりません」
柔らかな声音だったがエリオスは言外に語っている。
――カリナの言動は自分が把握していると。
支配欲を見せ始めてきている。
「そうかしら。カリナ様はご立派な淑女でございます。ご自分で考えて行動なさることも大切だと思いますわ」
リジュアが微笑み返すと、エリオスの口許が引き攣った。
もし、ここでリジュアと二人だったら、本性を見せていたかもしれない。
しかしリジュアの後ろには、あの白銀宮の断罪官が控えている。
「またお会いできる日を楽しみにしております。それでは失礼」
エリオスは優雅に一礼して見せるとレイノルズ侯爵家の屋敷へと戻っていく。
なぜかリジュアには、その別れの言葉が警告に聞こえた。
「――外面が良い男……」
「似ているのか?」
いつの間にか隣に並び立つ男に質問を受ける。
目線を上げれば、夕陽に淡く照らされる極上の美形がリジュアを見下ろしていた。
「――お前の姉の夫に」
継がれたルビンの言葉。
リジュアはルビンから逃れるように視線を逸らした。
「本当に、断罪官様はわたくしが苦手な見方をされる方ですわ」
静かに空を見上げたリジュアはルビンの問いに否定を返さなかった。



