窓際の特等席、秘密のエール

「いけー!隼人!ファイトー!」
五月の風が、赤いタータンを駆け抜ける。
ハードルを跳ぶ牧村(まきむら)隼人(はやと)の背中で、
黒いユニフォームのゼッケンが翻った。
俺は応援席の最前列で、腹の底から声を張り上げる。
のどが焼けるように痛いし、声が掠れる。
本当は、こんな応援の仕方、全然得意じゃない。
楽器のない応援なんて初めてで、
でも、胸の奥底からこみ上げる何かを、俺は吐き出さずにはいられなかった。